先月、道内旭川市の住宅型有料老人ホーム「グレイス神居」で虐待行為が発覚した。

虐待と認定された内容とは、下記の行為である。
・2021年5月から22年9月の夜間に複数回、職員が1フロアの入居者約10人の居室のナースコールを鳴らない設定にし、介護を放棄した。
・2021年の夜間に数回、職員が一部の居室でドアの取っ手の下に外側からテーブルを置き、ドアが開かず入居者が自由に出られないようにした。


虐待の発覚は市民情報だったそうだ。そのため旭川市は昨年9月から今年1月にかけて監査を行い、運営会社に2/3付で老人福祉法に基づく改善命令を出している。(参照:旭川市福祉保険部指導監査課の命令文

施設側は、「虐待などの意図からではなく、利用者が勝手に外に出てケガをしないようにと考えての事だったと思う」と苦しい言い訳をしているが、部屋に閉じ込めることがそのような理由で正当化できるわけもなく、ましてやナースコールを切った理由にはならない。

同社は今月3日に謝罪文書を入居者家族に送付し、3月中に説明会を開くとしている。
グレイス神居
虐待のあった有料老人ホームは住宅型であり、特定施設の指定を受けた介護型ではない。その為比較的介護の必要性が薄い人が入所しているのではないかと思われる。しかし利用者にとって、何かあった際のナースコールは、「命綱」であることは、どのような施設であろうと、どんな状況であったとしても変わらない。

そのコールを受けないようにすることは、介護を放棄したしたというだけにとどまらず、利用者の方々の身を護ることを放棄したということに等しい。場合によってはそのことは命の危険に及びかねない。

この有料老人ホームで虐待が起こった時期は、ちょうどコロナ禍から1年を経た時期である。このころ各地の介護施設・居住系施設では面会制限が長期化し、世間一般の目が届かない状況が当たり前になり、密室化することでなんでもありの状況が生まれかねないのではないかという懸念が生じていた時期でもある。

果たしてこのホームの運営会社、ホームの管理者・職員に世間の目が届かないことによる感覚麻痺が生まれてはいなかっただろうか。制限をできることを当たり前と考えることによって生じた不遜な考え方が、不適切な行為に結びついてはいなかったのか・・・。

虐待とは無縁と思える他の介護関係者も、コロナ禍による制限ありきの介護事業経営・運営の中で、「介護の常識は、世間の非常識」という状況が生まれていないかという検証作業が早急に求められるのではないか。そんなことを考えざるを得ない。

それにしても介護施設等の、「ナースコール」・・・。ほかに呼び名はないものだろうか。

医療機関と異なり、その通報は看護職を呼び出すものではなく、多くがケアを求めるコールだ。

その中には、「寂しいの、私のそばに誰か来て」という願いにも似た心の叫びが含まれている。だからこそ「ナースコール」という乾いた響きの呼称ではなく、利用者の心の叫びが伝わる言葉で表現した方が良いのではないかと思ったりする。

かといってケアコールでは芸がない。何か良い言葉はないものだろうか。

良い言葉・新呼称を思いついた方は、是非コメントをお願いしたい。
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