厚労省は1日、介護職員処遇改善加算特定処遇改善加算ベースアップ支援加算の計画書・実績報告書の新様式を公表した。

昨年10月にベースアップ支援補助金が加算に変更されたことによって、介護職員等の処遇改善に関わる加算は3種類となり、ますます複雑な構造になると同時に、その算定に関する申請・報告等の事務作業が煩雑すぎると介護事業者から悲鳴が上がっていた。

今回この事務作業の負担軽減・簡素化を狙って計画・実績報告の様式を変更したものだ。

新様式の計画書では、前年度との賃金額比較が省略されている。今年度の賃上げ見込み額が、3種類の加算それぞれの見込み額を上回ることを確認するのみでよくなっているため、この部分では事務作業の軽減が期待できる。

実績報告書についても、前年度との比較は加算ごとではなく、3種類の加算一体での計算とするように変えられている。具体的には、「今年度の賃金総額」から「3加算による賃上げ額の合計」を引いた額を前年度と比べ、加算以外の部分で賃金を下げていないことを確認するだけなので、ここでも事務作業は軽減される。

また複数の事業所を運営する法人の場合、計画書と実績報告書はともに、賃金総額や賃上げ額などの事業所ごとの記載を不要とし、法人単位での確認と変更されている。これも事務処理軽減につながるだろう。

このように計画書・実績報告書の作成事務自体は、従前より軽減されているように思え、介護事業者にとって歓迎すべき方向であるといえる。

この新様式に対応するため、来年度の計画書の提出期限は4月15日まで延長されている。
※実績報告書は各事業年度における最終の加算の支払いがあった月の翌々月の末日までで、従前と変更はない。

ところでこの3種類の処遇改善加算については、2024年度介護報酬改定時に統合・一本化が図られる予定である。
(※処遇改善加算等の取得要件である職場環境等の要件について、生産性の観点から見直しを検討するともされている。)

しかし配分ルールが異なる3種類の処遇改善加算を一つにまとめる作業は、決して簡単ではない。

現在、加算配分されている職種の中で、新加算になった後に配分される金額が上がったり、逆に下がったりということが起きて、利益を受ける人がいる反面、不利益を受ける人も出てくるだろう。
カイゴと働くを考えるフォーラムin北海道
※画像は4日に行われた、「カイゴと働くを考えるフォーラムin北海道」の会場に集まってくれた仲間との集合写真。地域で活躍されている達人ケアマネと呼んでよい方が多数含まれている。これらの人たちが新処遇改善加算の恩恵が受けられる改善であってほしい。

さすれば今後の変更は統合・一本化ではなく、現行の処遇改善関連加算が廃止され、新たな処遇改善加算が新設されると考えた方が良い。そのうえで新ルールに基づいて、従業員の皆様には配分を見直すことになるので、その恩恵を受ける人と、不利益を被る人に分かれることを今のうちから説明しておくことで、混乱と不満は最低限に収まるのではないだろうか・・・。

その時に一番恩恵を受けるのは誰だろうか・・・。その答えは、「介護保険制度の見直しに関する意見」(令和4年12月20日・社会保障審議会介護保険部会)の(1)総合的な介護人材確保対策の23頁にある。

そこでは、「他業種や外国人材といった多様な人材が参入する中、多様化・複雑化する介護ニーズに対応するためには、介護福祉士を介護職グループをマネジメントするリーダー的存在として育成するため、介護福祉士個人の専門性を評価する仕組みなど職場におけるキャリアアップや処遇の改善につながる仕組みを検討することが重要である。」と書かれており、介護福祉士有資格者に加算配分が手厚くされる可能性を示唆している。

また2/21にアップした、「ケアマネ待遇改善が明記された厚労省資料」で指摘したように、ポスト 2025 年の医療・介護提供体制の姿(案)の7頁に、「ケアマネジャーの待遇改善」が明記されていることから、今まで処遇改善加算配分の蚊帳の外に置かれていた居宅介護支援事業所の介護支援専門員への配分も可とされると予測する。

そして岸田政権の政策を考えたときに、新たな処遇改善加算は、現在の3本の加算を合計した加算率よりさらに高くなる可能性が高いと思う。

以上が現時点での僕の予測である。皆さんの予測はどうだろうか・・・。
※菊地雅洋にインタビュー!「これからの地域包括ケアシステム後編その2」(最終回)。地域包括ケアシステムを担う訪問介護から小規模多機能、福祉用具、新複合型サービスまで幅広く各事業について語りました。リスクマネジメントに有効にも拘わらず、まだ整備できていない施設が多いというマストアイテムとは?下記参照ください。

登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。






※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
きみの介護に根拠はあるか
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは(2021年10月10日発売)Amazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。