新型コロナウイルスの発生から3年余りが経った現在、政府は、新型コロナウイルスの感染法上の分類を5月8日から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることを決定している。

これに伴い、感染者の外出自粛や医療費の負担・マスク着用・医療機関への受診など、これまでと対策が大きく変えられることになる。

そうした中で、介護施設等の面会・外出制限も緩和検討がされていくことになるが、それで感染症対策が終了ということにはならない。

新型コロナウイルス感染症は今後も起きるだろうし、それによるクラスター感染もゼロになることはないだろう。そうであるがゆえにBCP(事業継続計画)の中でしっかりとその対策を定め、それに沿った対応ができるようなシミュレーションを繰り返しておく必要がある。

それと共に、この3年間介護保険施設等で行われていた、「面会及び外出制限」が本当に正当な対応であったのか、そこに過剰な制限はなかったのかということを検証していく責任が、制限を行った当事者には求められてくるだろう。

今もなお面会・外出制限を行っている介護施設の当事者は云う。「そうはいっても、実際にクラスター感染を経験し、その苦労を知ったら制限不可なんて言えない」・・・そう主張する施設関係者は少なくないし、そうした主張はわからなくもない。
関門海峡
しかしクラスター感染の主たる感染源は職員である。面会制限下で、職員以外の出入りのないところでクラスター感染が発生していることが多いのである。

そうであるにもかかわらず、職員の感染予防対策・職員からの感染防止策を強化せず、利用者の面会制限だけだらだら継続するというのは本当に感染予防対策となるのだろうか・・・。どこかおかしな気がしてならない。

いわばそこで行われている制限とは、感染予防効果を高めるというより、何かしなければクラスター感染が再発するという恐れから逃れるための制限・・・つまり心理的効果にしかならない制限であるように思えてならない。

それが果たして正しいのだろうか。

人間にとって、自分自身の記憶にあることは、「体験」である。しかし記憶にない以前の出来事は、「歴史」である。

コロナ禍と、そこで行われた様々な対応は私たちにとっては体験である。しかし私たちが死んだあと、その時代に生きるコロナ禍を知らない人々にとって、今私たちがとっている行動はすべて歴史である。

月単位あるいは年単位にまで及ぶ介護施設等の面会・外出制限はどのような歴史として審判されるだろうか。過去に介護事業者内で行われた、「安全のための身体拘束」よりも、「非人間的な状態」だったと評価されないだろうか。

メディアも、この問題についてはほとんど報道していない。そうであるからこそ、私たち介護事業関係者自身が、自分たちがとった対策が過剰反応ではなかったかという自己検証作業が必要になる。

それが人の暮らしに介入する専門家の使命と責任ではないのだろうか・・・。

実はこの記事は、松山空港で更新している。先ほど新千歳空港から名古屋国際空港(セントレア)を経由して松山に到着したばかりである。

今日は松山市に泊まり、明日朝に久万高原町に移動して、午前と午後に渡って2講演を行う予定になっている。

そのうち午前中の講演は、「介護事業に携わる者の使命と責任〜選ばれる介護事業の条件」というテーマである。その案内文の一部には下記の文章が書かれている。
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(前半略)医療介護現場では変わらず、感染対策に伴った面会制限や面会自粛、地域との交流の減少等により、利用している方々も辛い日々が続いています。医療介護現場の職員も、終わりの見えない日々の感染対策と日常業務で心身ともに疲弊しています。ただここまで長期間に渡り、直接会えない、触れ合えない、どのようにケアしてもらっているかわからない、という異常な状況は、残された時間に限りある本人や家族からすれば「当たり前の暮らし」からはほど遠いものであることも理解しなければなりません。改めてwithコロナの時代において医療介護事業所に携わる者の使命や責任とはなんなのか?自分たちのケアや本人家族との関わりを見直す機会となることを目的に講演会を開催します。
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この趣旨に沿って、講演会場に来場される方と共に、介護サービスの在り方を考えてきたいと思う。

歴史の評価を受ける前に、自分の体験を正しく評価できないものかと真剣に考えたいと思う。
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