僕がケアマネ実務をしていたのは、介護保険制度開始直後の2000年からの数年間である。

その際は、社福の相談室長を兼務していたので、自分自身が施設サービス計画書の作成実務をはじめとしたケアマネジメント実務を行いながら、他の施設ケアマネと居宅ケアマネ両者のスーパーバイザー役も務めていた。

その時、僕が用いていたアセスメントツールは、現在のインターライ方式である。
※当時は施設版はMDS-LAPS、居宅版はMDS-CAPS-HCと呼ばれていたが、現在はインターライ方式として両者が統一されている。

インターライ方式は、要介護高齢者等にに起こりやすい問題領域を27領域に分けて設定して生活課題を引き出す方法を取っているが、この問題領域設定につながる「トリガー(引き金)」として、「利用者の身体の痛み」を重視している点に特徴がある。

その方式を使い始めた当時の僕は、40歳になったばかりだったから、慢性的な体の痛みというものを実感として感ずることはできなかった。ただ単にインターライ方式のロジックが痛みにトリガーするようにできているんだと感じただけである。

しかしそれから20年以上経って、慢性的・持続的な身体の痛みというものが実感としてわかるようになると、それがいかに暮らしに影響しているのかが理解できる。

膝や腰の痛みがあることが当たり前になると、無意識のうちにその痛みが軽減できる動作を取ろうとして、不自然で遅い動作に繋がっていくのだ。厭う動作も多くなっていく。この点の理解ができると、より深い課題解決の視点が見えてきたりする。ここは、「老いる」という経験をしないとわからない点かもしれない・・・。

どちらにしても自分も確実に老いている。過去に高齢者の特徴だと感じていた現象が、自分の身の上に起こってくるのだ・・・。そう考えると、認知症・認知機能低下も自分と縁遠いものではないと思うし、認知機能が正常なうちに自動車の運転免許は返上する必要があると思うようになった。・・・その時期は70歳を目安にすべきか、それ以上か・・・。

というのも、僕が長年所属していた社会福祉法人の母体は医療機関であったことに関係している。そこは精神科が中心でベッド数も550床あり、様々な人たちが入院していた。

その中には自分が運転する車で、自分の最愛の孫を自宅前でひき殺してしまった認知症の人が居る。

事故当時も認知症があるにもかかわらず、手続き記憶が残っているために運転動作ができてしまうために起こった悲劇だ。(参照:手続き記憶だけでは運転できない車を作ってください
徘徊の理由
その方は、自分が孫をひき殺すという事故を起こした記憶も失って、可愛い孫がいたという記憶だけが残り、終日認知症専門棟内を孫の姿を求めて徘徊している。

しかし愛する我が子をひき殺された両親(徘徊男性の長男夫妻)は、この方の面会に来ることはなく、一切の縁を切っているように連絡にも応じてくれない。

認知症が原因となった悲劇によって家族関係が絶たれてしまったわけである。

こうした悲劇の舞台に自分が立つようなことがことがないように、自分自身で運転からの勇退の時期をきちんと決めておく必要があると思う。

そういえば先週金曜日(2/17)にも、認知症が原因ではないかと疑われる交通事故が起きている。神奈川・横浜市で、乗用車が次々とバイクや車に追突し、4人が重軽傷を負った事故で警察は、現場から逃走し、乗用車を運転していた78歳の男を、ひき逃げなどの容疑で逮捕している。しかし容疑者は、「車を運転して散髪に行きましたが、事故を起こした記憶もなく、逃げたという認識もありません」と容疑を否認しているそうである。

容疑者が事故後に何食わぬ顔で散髪をしている事実と照らし合わせると、この供述はとぼけているのではなく、認知症で本当に事故の記憶を失っているためであることが考えられる。

そうであればまた別の意味で深刻な事故ということになる。

社会全体で高齢者の運転と、認知機能低下による悲劇という問題を議論する必要があると思うが、何よりもまず、60歳を超えたならば、自分の運転からの勇退時期をしっかり決めておくことが大事ではないのかと思う。

とりあえず僕は、今年の誕生日から毎年、二人の息子に自分の運転能力は大丈夫かを確認しながら、今年の誕生日以降も運転を続けるべきかを検討したいと思う。
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