本日(2/9)午後3時55分から60分間、「これからの介護事業経営を支える看取り介護の実践〜今 “看取り介護”に取り組むべき理由とは〜」というテーマの講演をネット配信します。
これは高齢者住宅新聞社主催、「オンライン 介護経営サミット」の中で無料配信されるもので、僕はこのサミットのトリを務めます。
トリとは言っても、僕が講師陣のメインというわけではなく、単に最後に講演受諾したという順番の問題でしかないと思いますが・・・。
今回の講演視聴者は、介護事業経営者の皆様が主になると思います。そのため講演内容も、看取り介護実践が介護事業経営に与えるメリットとは何かという方向性で話をすることになります。
だからと言って看取り介護・ターミナルケアの実践が、事業経営上大きな収益となるという意味ではありません。
所詮一人1回きり・45日上限の算定費用であり、しかも終末期という重篤な状態に関わるケアですから、経営側から見ると、掛ける手間のわりに収益はさほどでもないという考え方も成り立ちます。決してコスパの良くないサービスですから、収支差率を考えると手を出さないという考え方にもつながりかねません。
しかし看取り介護・ターミナルケアの実践には、収益以外のメリットが多々あります。

例えば特養が行う看取り介護の意味は何でしょう。
特養は在宅復帰機能も視野に入れるべきなので、そこは終の棲家ではないという人もいます。しかし特養からの在宅復帰率は、おそらく1割にも達しておらず、事実上そこを最期の暮らしの場として入所される利用者が数多くいます。
その時、特養関係者は看取り介護をどう捉えたらよいのでしょう。利用者がいずれ死ぬのだから、看取り介護が必要と考えるのでしょうか・・・。僕は違うと思います。特養を事実上、終の棲家として暮らしている人が多数居るという事実を見極めたうえで、その人たちが最期の瞬間まで、尊厳ある人としての人生を全うできるように支援するために看取り介護があると考えるべきだと思います。
そこでは命を大切に思うこと、人の尊厳とは何かを考えること、人間尊重とはどういう実践で実現できるのかを理解するに繋がります。
ところでここで考えてほしいことは、特養を経営する社会福祉法人の屋台骨は非課税法人であるということです。
しかし今その屋台骨が揺らいでいます。
介護保険制度改正ではすべての介護事業者に財務状況の公開義務が課せられます。
今まで財務を公開してきた社福に加えて、社福以外の事業主体にもその公開義務が課せられるという意味は、義務部分では社福とそれ以外の事業主体は同列になったという意味です。そうであるにもかかわらず、なぜ社福だけ非課税法人であるという権利を持ち続けることができるのかという議論が沸き起こります。
その時、社福はどの事業主体より、高い倫理観をもって利用者福祉に努めているという証明をする必要があります。
しかしこの倫理教育が十分行われていないのではないかと思われる節があります。行われていたとしても、アリバイ作りのような実効性の伴わない座学で終わっているような法人もあります。
その影響なのか、特養の職員が勤務中に利用者を殺してしまったり、虐待をするなどの報道が相次いで、社会福祉法人に対する社会的信頼度は限りなく低下しつつあります。
そのような中で、看取り介護の実践により、利用者の暮らしを最期まで豊かな状態で支える介護をしていることが、特養の評価につながるだけではなく、そこで培う高い意識が、従業員の倫理観の向上にもつながります。
本物の看取り介護実践は、倫理教育のOJTの場になり得るものです。命が尽きる瞬間まで、生きる人を支えるために、本当に必要とされる実践を通して、職員は無意識のうちに、人の暮らしに深く介入するという仕事の使命と責任感を持つことができるようになります。
自ずと対人援助という職業に就くものとしての倫理観を得ていくのです。
逆に言えば、いくら机上で倫理観の大切さをレクチャーしたところで、実践レベルがそれを否定するような低いレベルであれば、そこで従業員が高い倫理観を持つことはあり得ません。
限りある命を持つ存在としての人に対し、最期の瞬間まで真摯に寄り添う、本物の看取り介護実践が、従業員の高い倫理観に繋がり、そうした倫理観を持つ職員が誇り高く仕事を続ける先に、高品質サービスn実現と、従業員の定着率の向上にもつながるのです。
今日配信するオンライン看取り介護講演では、そうした方向から社会福祉経営を語ります。既に視聴申し込み者は341名に上っているそうです。
配信ぎりぎりまで申し込みは可能ですので、是非時間を作ってネットにつなげてください。画面を通してお愛できれば幸いです。
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