4日間の四国講演(四国中央市・高知市)を終えて、昨晩北海道に帰ってくると、自宅のある登別は冷凍庫と化していました。・・・今朝も気温は氷点下11度まで下がっており、寒いのなんのって・・。

高知市では、「こちらの夜も結構寒いですね」と言いながら、肩をつぼめていましたが、その比ではありません。

四国中央市と高知市で、おいしいものを腹いっぱい食べた分のぜい肉を落とすために、今日から運動しなければなりませんが、この寒さでは汗も出ません。困ったものです・・・。

さて四国では、「ケアマネジメントの役割とケアマネジャーの実務」・「介護事業の使命を果たす実践論」・「介護保険制度改正内容を読んだうえでの今後の介護事業経営」という3つのテーマで話をしてきました。

その中でも最終日に高知市で話した介護事業経営についていえば、先週金曜日に書いたブログ記事、「見えない絆は消えない」で指摘したように、次の改正ではなく、そのまた次の2027年改正時に、介護事業に嵐が吹き荒れることが予測されることが大問題です。
高知・福の種主催講演
要介護1と2の方々の訪問介護や通所介護等を市町村の総合事業化することと、居宅介護支援費の自己負担導入について、実質的に厚労省が2027年度当初からそれを実現するという手形を切った形で、「介護保険制度見直しに関する意見」がまとめられているからです。

これによって、特に通所介護事業は厳しい状況になります。要介護3以上の利用者なんてそうたくさんはいないし、市町村の総合事業化された軽介護者の通所介護相当サービスを受託したとしても、その単価は現行より7割以下に抑えられえる可能性が高いからです。

現行レベルの収益確保が難しくなる中で、職員の待遇は維持・向上させていかないと、サービスの担い手不足で事業そのものが継続できなくなりかねません。その逆風に向かって、どう対処するかが問題です。

そこで救いとなる可能性があるのが、新設される訪問や通所などの複数のサービスを組み合わせた、新複合型サービスです。そこに参入できれば、軽介護者の顧客が減った分をカバーして余りある収益を得ることができる可能性が生まれるのです。

このサービスは、「新複合型サービスの姿を予測する」で解説したように、地域密着型サービスとして月額定額報酬とされる予定です。

そして新複合型サービスを新設する目的の一つには、訪問介護サービスが提供できなくなる地域での代替サービスという意味が含まれているので、訪問サービスを提供する職員には資格を必要としないだろうと予測されています。

また小規模多機能居宅介護との差別化を図る部分では、新複合サービス事業所には介護支援専門員の配置を求めず、外部の居宅介護支援事業所の介護支援専門員の居宅サービス計画に位置付けることで、サービスの現物給付化が可能とすることも予測範囲です。

そして最も重要な点は、新複合型サービスは軽介護者であっても介護給付の中で利用可能ということです。このサービスは市町村の総合事業化の対象外なのです。

しかも厚労省主導で新設した新サービスなのですから、その普及を促進するために、2024年からの報酬単価は高額設定される可能性が高いと言えます。

しかし訪問介護事業所は、そう簡単に新複合型サービスに参入できません。参入するには、通所サービスを提供できる器を確保し、訪問介護員以外に、看護職員や機能訓練指導員・生活相談員を新たに確保せねばならないので、ほとんどそれは不可能でしょう。

その点、通所介護事業所は、訪問サービスを提供できる人材を確保するだけで、新複合サービスへの参入が可能となります。

すると通所介護事業所の経営戦略としては、2027年以降、介護給付の利用者数が減ることを見越したうえで、それに替わる顧客確保戦術として、新複合型サービスに参入できるようにすることが重要になってきます。

しかもできるだけ早くその事業が提供できることで、地域の要介護者を顧客として早い段階から確保することが可能となります。こうした早期参入による顧客確保戦術は、地域の中でその事業者を老舗ブランド化する効果も見込め、将来的・継続的に顧客確保に困らない戦略ともマッチしていきます。

しかし通所介護の従業員の中には、利用者の家庭という密室で、一人でサービス提供することを嫌って通所介護で働いている人も少なくありません。資格の問題以前に、適性の問題があるのです。

よって今後、1年かけてそれらの従業員の皆様に、新複合サービスの参入が従業員の待遇改善を続けるために不可欠で、それを実施できることが即ち、従業員の皆様の豊かな暮らしにつながることを説明が必要です。

そのうえで利用者宅でカスタマーハラスメントに合わないようなシステムを創り、訪問サービスのスキルを向上させる教育を行って、2024年度の新複合サービス創設時に、即サービス参入できるようにすべきだと思います。

このように、「あの時、新サービスに参入する決断をすべきだった」と後々後悔しない事業経営戦略を練ってください。
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