看護小規模多機能型サービスは、2012年から2015年まで「複合型サービス」と呼ばれていた。

それが看護小規模多機能型居宅介護と名称変更された以後は、複合型サービスと呼ばれるサービス種別は介護保険制度上にはなくなっているわけだが、2024年度からその名称のサービスが復活することになりそうだ。

そのことは、介護保険制度の見直しに関する意見(令和4年12月20日・社会保障審議会介護保険部会)の6頁に以下のように記されている。

○ 単身・独居や高齢者のみの世帯の増加、介護ニーズが急増する大都市部の状況等を踏まえ、柔軟なサービス提供によるケアの質の向上や、家族負担の軽減に資するよう、地域の実情に合わせて、既存資源等を活用した複合的な在宅サービスの整備を進めていくことが重要である。
○ その際、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、(看護)小規模多機能型居宅介護の更なる普及に加え、例えば、特に都市部における居宅要介護者の様々な介護ニーズに柔軟に対応できるよう、複数の在宅サービス(訪問や通所系サービスなど)を組み合わせて提供する
複合型サービスの類型などを設けることも検討することが適当である。

かつてあった別サービスの名称をそのまま新サービスに当てはめるのは、混乱を呼ぶものとしか思えず、正式にサービスが創設された際には、名称も別にするように工夫してほしい。本記事では混乱を防ぐために、新サービスを新複合型サービスと表記することにしたい。

昨年11月の介護保険部会に厚労省が唐突にこの案を示した際の説明を読むと、そのモデルは通所サービス事業所から訪問サービスを行ったコロナ特例であることは間違いのないところだ。

コロナ特例の場合は、通所サービス事業が休止されたケースで、自宅待機していた利用者に対する訪問サービスであったり、感染を恐れるなどの理由で自らの意思で通所サービス利用を休んでいる利用者に対し、自宅訪問してサービスを提供するというものであった。

新複合サービスも、通所サービスを利用している人について、随時訪問を組み合わせてサービス提供できるものである。

例えばリハビリテーションに特化した短時間デイサービスを利用している人は、通所介護事業所で昼食などの食事サービスや入浴サービスを受けることなく帰宅する人が多い。それらの人に対し、帰宅後の自宅で、食事提供や入浴支援といったサービスを、通所介護事業所職員が訪問して行うこともできるとされている。
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こうしたサービスを新設する理由は、訪問介護員の不足と高齢化が顕著で、近い将来、訪問介護サービスが提供できなくなる地域が出現することが確実になっているからだろう。そのため訪問介護に代わる新たなサービスの必要性が高まっているのだ。

そうであれば訪問介護員のなり手がなかなか見つからない理由の一つが、初任者研修等の受講によって訪問介護員となる資格を得なければならないというものなのだから、新複合型サービスの訪問担当者は、無資格で可とされるだろうと予測する。

また新複合型サービスと、小規模多機能型サービスの違いは何かということになると、小規模多機能型居宅介護が思ったように普及しない理由が、居宅介護支援事業所のケアマネジャーの担当から外れてしまうということなので、そうならないように差別化するという意味だと思う。

つまり新複合サービスは、居宅サービス計画書に位置付けるサービスとし、居宅介護支援事業所の所管から外れることなく利用できるサービスとするのではないかと思う。新複合型サービス事業所に、介護支援専門員配置は必要としないという意味だ。

ただしこれらはすべて予測でしかなく、新複合型サービスの全体像は、今年の年末に明らかにされるまで謎のままである部分が多い。

例えば新複合サービスは地域密着型サービスに分類されると書いたが、そうなると都道府県指定の通所介護事業所は、このサービスを提供できないのかという疑問がわく。それとも通所介護部分は都道府県指定事業のまま、訪問を組み合わせた部分のみ地域密着型の指定を受けるのだろうか・・・?疑問は尽きない。

どちらにしても国主導で創設される新複合型−ビスなのだから、このサービスの普及を図るため2024年〜の3年間の新複合型サービスの報酬単価は高めに設定されることが予測される。

そのためこのサービスの全体像をいち早くとらえるために、発信される情報に素早くアンテナを張り、できるだけ2024年当初から、新複合型サービスに参入することを目指したいものである。
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