昨日(1/4)、岸田文雄首相が年頭記者会見を行った。
その中で成長と分配の好循環を実現するため、今年の春闘で「インフレ率を超える賃上げの実現をお願いしたい」と述べている。
物価高以上の賃金アップを企業に呼び掛けたわけである。
あわせて、「政府としても、公的セクターで働く労働者や政府調達に参加する企業の労働者について、インフレ率を超える賃上げが確保されることを目指す」と明言した。
政府が直接支払う給与を受け取っている人々には、責任もって物価高以上の水準の賃上げを図るということだ。
それは良いとして、公費運営されている介護事業者の職員賃金への配慮はないのだろうか?
昨今の物価高は、介護事業者の経営を直撃している。特に水道光熱費の値上がりが大きく、前年同期比で2割以上増加した法人が多いという調査結果も示されている。加えてガソリン代や保健衛生費の支出も大きくなっている。
これらの値上がりの影響で、給食委託業者への委託費も新年度から大幅にアップせざるを得ない法人も多いことだろう。
公費運営している介護事業者は、この値上がり分がどこからも手当されない現状で、その負担に耐えられるのだろうか?

令和2年度の介護経営実態調査結果をみると、全サービス平均の収支差率は2.4%しかないわけである。
かつてのように10%を超える収支差率を出している事業はない状況で、物価高が現在進行形である。すると諸費用支出の増加分が収益をすべて呑み込んで、収支差率マイナスという介護事業者が増えることが予測される。
そのような状況では定期昇給原資も確保できず、物価高以上の賃上げなどできるはずがない。
岸田首相は、「公的セクターで働く労働者も、物価高以上の賃金アップを行う」と言っているのだから、公費運営されている介護事業者の職員も、「公的セクターで働く労働者」に準ずる者であるとして、物価高以上の賃上げを実現するための臨時の報酬改定が必要ではないのだろうか。
この4月にそれが実現されるように、今から準備を進めてほしい。
介護関係の職能団体も、力を合わせてこのことを国に訴える必要があると思う。(※既に意見書を挙げている団体があることは承知のうえである。)
臨時報酬改定が行われないのであれば、介護事業者において物価高以上の賃上げは、極めて難しい状況であると言えるだろう。
さて話は変わるが、「弁護士 外岡 潤が教える介護トラブル解決チャンネル」に、僕のインタビュー第2弾動画が昨日アップされた。
インタビュー2は、『建前化する「利用者本位」・ユニットケアの本来の意味・ACPの切り札となる○○』である。約20分の動画となっているので、是非ご覧になっていただきたい。
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