22日の経済財政諮問会議資料3-2、「新経済・財政再生計画改革工程表 2022」の9頁には、「科学的介護の取組の推進」として次の文言が書かれている。
・2021 年度介護報酬改定において創設したデータの収集・活用とPDCAサイクルに沿った取組を評価する加算等について、改定の影響の検証結果に基づき、2024 年度介護報酬改定に向けて訪問系サービスや居宅サービス全体のケアマネジメントにおけるLIFEの活用を通じた質の評価の在り方や標準的な介護サービス等について、必要な対応を検討。
つまり2024年度の報酬改定時には、現在LIFE関連加算が設けられていない訪問介護や訪問看護、居宅介護支援などにもLIFE関連加算を設けるという方針が示されたという意味である。
これは介護分野におけるDXの推進策として求められるものだ。要するに介護人材不足は解消のめどがないから、様々な知恵を活用して、生産性を挙げる方向に介護労働形態を変えていこうとする方策である。(参照:介護DXは進化を表す言葉ではなく諦めを覚悟させる言葉。)
これによっておそらく訪問介護や訪問看護には、科学的介護推進体制加算にような加算が新設されるのだろう。
一方で居宅介護支援については、利用者情報を送る必要がない。なぜならそれらの情報は、居宅サービス計画書に位置づけられている各サービス事業所から送っていることになるからだ。よって居宅介護支援事業所のLIFE関連加算とは、他の事業所とは全く違った形になると予測される。
そのため居宅サービス計画に位置付けられた各サービス事業所について、LIFEからのフィードバック活用がどのように行われているかを、サービス担当者会議等で検討・評価する形に加算が付けられるのではないだろうか。
どちらにしてもどのような形のLIFE要件加算となるのかについて。今後の具体化に注目しなければならない。

LIFE要件加算の算定サービスを拡大するのは良い。しかし肝心のLIFEからのフィードバックはいつになったら正常に行われるのだろう。
科学的介護が実現するかどうかは疑問であるが、少なくともその実現のためには、LIFEから情報提出事業者へのフィードバックが必要不可欠だ。フィードバックをPDCA活用して、各事業所のサービスを科学的に実施・改善していくことが科学的介護の実践そのものと言えるからだ。
しかし現時点では、暫定版フィードバックしか行われておらず、その内容も提出データの全国平均値と提出事業者のデータ比較しかできないものである。そのため5/30の厚労省通知では、「フィードバックは可能な範囲で活用ください」とされている。・・・しかし活用可能なフィードバックなどないのが現状だ。
このようにフィードバック正式版が、LIFEの運用から1年半を過ぎているのに行われていないというのが一番の問題である。正式版はいったいいつ行われるのだろうか。
もともと厚労省の委託を受けてLIFEのシステムを構築して運用にこぎつけたのは東芝という大企業である。しかしその運用に不備があったのか、今年4月にLIFEの運用会社は、NECに変えられている。
ということはNECという企業が、東芝が創り上げたシステムを改善して、フィードバック正式版が行われるように取り組んでいるということになる。
この改良が思ったより遅れている・・・というよりLIFEのシステムを根本から作り直しているのが現状のようで、システムの安定には数年かかると言われている。しかし2024年からLIFE要件加算が拡大されるのだから、その時にフィードバック正式版が行われていないということは許されないだろう。
おそらく今年度中に、フィードバック正式版が行われることは無理だろう。そのため次期報酬改定に間に合うように、何とか来年度中に正式版フィードバックが行えるように作業を急いでいるというのが現状ではないのだろうか。
LIFEにはすでに莫大な費用をかけているので、国はこのシステムをなくすことなしない。そのためLIFE要件加算もなくなることはない。
11/14の社会保障審議会・介護保険部会資料では、「LIFEについては、エビデンスを蓄積する観点から、データを提出する事業所・施設を増やし、収集するデータを充実させる必要があり、入力負担の軽減を図るとともに、収集する項目がエビデンスの創出及びフィードバックに資するものとなるよう検討することが重要ではないか。」としているし、介護保険制度の見直しに関する意見の12頁では、「科学的介護の推進」としてLIFE活用・改善の視点が示されている。
ということは今後の介護事業者は、いかにLIFE要件に合致した取り組みをしていくのかが、経営に直結する問題となってくるので、四の五の言っていないで、LIFE要件加算にも対応して、算定漏れがないようにしていかねばならない。
科学的介護が存在するか否かという議論は脇に置いて、LIFEというシステムに対応していくという視座が求められていることを理解せねばならない。
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