昨年度から、リブドゥコーポレーション主催オンラインセミナーの講師役を勤めさせていただいている。

今年度も6回のオンライン講演を行うことになっており、既に4回の講演を配信し終わっている。
12月に配信したセミナー内容
リブドゥコーポレーション主催オンラインセミナー
3月に配信予定のセミナー内容
リブドゥコーポレーション主催オンラインセミナー
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そのうち12/20(火)は、身体拘束廃止に関するオンライン講演を配信した。しかしこのテーマを聴いて、「今さら?」と首を傾げた人も居るのではないだろうか。

なぜなら身体拘束ゼロ作戦から20年以上経っている現在、拘束なんてしないのは当たり前じゃないかという人が多いからである。

しかしそれではなぜ2018年に身体拘束廃止未実施減算が強化されたんだろうか?身体拘束廃止の取り組みが不十分な状況があったからではないのか・・・。

例えば表面上、身体を縛って拘束する行為はなくなったと言っても、スピーチロックが日常的に行われている介護施設は少なくないように感じる。車いすに座った人の行列を作って、前後に行きも戻れもしない状態は拘束ではないのだろうか?

そもそも身体拘束廃止の取り組みは、拘束廃止ゼロ作戦の目標達成のために行うものでも、身体拘束廃止未実施減算が適用されないために行うものでもないはずだ。それは介護サービス利用者の人権を護り、本当の意味での豊かな暮らしQOLの向上を実現するための取り組みである。

しかし僕自身も過去には、つなぎ服立ち上がることができなくなるように角度をつける車いす(スイング式車いす)などを当たり前に使っていたという事実がある。それが利用者の権利侵害・QOLの低下につながるなんて考えられなかったのである。

だから今回のオンライン講演では、介護の場でごく当たり前に行われていることが、利用者の行動制限になっていないかということを随所にちりばめて、身体拘束とは目の前に見える現象とか、使っている道具によって判断されるのではなく、「行動制限」となっているかどうかで判断されるのだという点を、具体例を示して理解していただいた。

視聴された方は、どのように感じとっていただいただろうか・・・。

ところでそのことを考えたとき、今現在も介護保険施設や居住系施設で続けられている、面会制限や外出制限はどう考えたらよいのだろう?

少なくとも施設の中に閉じ込めて外に出さないことは行動制限そのものである。それがコロナ禍という理由で許されるという明確な法令も、拘束廃止例外の特例通知も見当たらない。

すると例外的に認められる身体拘束の条件である3つの条件、「切迫性」・「非代替性」・「一時性」に該当するとして、その手続きを踏んで制限するしかないと言えるのではないだろうか。国が不要不急の外出をしないように通知しているとしても、拘束廃止の例外規定を設けていない限り、それは必要だと思うからである。
身体拘束例外規定の確認手続き
しかし実際にこの手順を踏んだうえで外出制限を行っているという施設の話は聞いたことがない。

コロナ禍という異常事態の中で、暗黙の了承でそれらは認められているということになるのだろうか・・・。

どちらにしても拘束廃止・行動制限を認めないという意味を考えるときに、今コロナ禍を理由に行われている様々な他者に対する行動制限も、決して絶対正義ではないと意識をもって、本当にそうした制限が必要だったのかという検証作業がされる必要があることを意識してほしい。

そして現在もなお、面会制限・外出制限を行っている施設のトップや管理職の方々は、そのことを決める権限が自らに与えられているのかを振り返って考えながら、そうした権限を行使する自分が、その権限によって絶対権力者と勘違いしないように注意してほしいと思う。

鏡に映った自分の顔が、権限に酔った醜い顔に変わっていないかを確認してほしいと思う。
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