週初めの12/19に厚労省から、「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」が公表された。

これは12/5に開催された、『第104回社会保障審議会介護保険部会』の提出資料を修正・追加記載したものであり、このまま正式な意見書として諮問される可能性が高い重要な資料である。
※この記事をアップした直後に、案という文字が取れた介護保険制度の見直しに関する意見が発出された:内容は記事に書いたものと変わりない

この6頁の(在宅サービスの基盤整備)では、次のような課題が示されている。
単身・独居や高齢者のみの世帯の増加、介護ニーズが急増する大都市部の状況等を踏まえ、柔軟なサービス提供によるケアの質の向上や、家族負担の軽減に資するよう、地域の実情に合わせて、既存資源等を活用した複合的な在宅サービスの整備を進めていくことが重要である。

その際、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、(看護)小規模多機能型居宅介護の更なる普及に加え、例えば、特に都市部における居宅要介護者の様々な介護ニーズに柔軟に対応できるよう、 複数の在宅サービス(訪問や通所系サービスなど)を組み合わせて提供する複合型サービスの類型などを設けることも検討することが適当である。(以下略)


これによって通所介護と訪問介護を組み合わせた新たなサービス類型を介護保険に創設することが決定されたと言ってよい。

このことは、「介護保険新サービスの創設について」で指摘したように、訪問介護という資源が枯渇する地域が生ずることを見越した対策であることは間違いなく、初任者研修資格等を必要としない訪問サービス従事者を広く地域展開させて、介護難民が生まれないようにしようというものだ。
北海道の冬の風景
しかし新サービスの実態がまだ明確に見えてこない。・・・現在までのところ示されているのは、新サービスは市町村が指定権者となる「地域密着型サービス」の枠組みに位置付けることと、月額包括報酬とする案を軸に具体化を進めていくということだ。

そしてサービスの具体例については、通所介護事業所が訪問サービスを提供する形などを想定しているという。

しかし新サービスを提供する通所介護事業所が、保険外宿泊サービスを行っている、「お泊りデイサービス」であるとすれば、この形は小規模多機能型居宅介護そのものである。・・・小規模多機能型居宅介護も、地域密着型サービスであり月額包括報酬のサービスであるのだから、新サービスとの違いを見出すことが難しくなる。

だからといって厚労省は、小規模多機能型居宅介護が、新サービスに呑み込まれて淘汰されていくような方向性を望んではいないだろう。

なぜなら厚労省の方々とお話をさせていただく際に、ことごとく小規模多機能型居宅介護のサービスソフトは優れていると評価する声を聴くからだ。

小規模多機能居宅介護は、欧米にもないサービスモデルであり、日本の厚労省官僚が創りだした全く新しいサービスであるという自負を厚労省の方々は持っているのである。

そういう意味では、小規模多機能居宅介護関係者は、新サービスに自分たちの事業が呑み込まれてなくなってしまうのではないかという心配をする必要はないと思う。

今回示された、「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」の6頁では、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護など、機能が類似・重複しているサービスについては、将来的な統合・整理に向けて検討する必要がある。」として、類似サービスの整理統合も必要とされているので、新サービスが既存の小規模多機能居宅介護と類似サービスとされることも厚労省は望んでいないだろう。

ということで今後、新サービスの具体像が明らかにされる中で、小規模多機能居宅介護との差別化がどうなされていくのかに注目したいと思う。

今の時点では、それはまだ全く見えておらず、期待と不安の両方をもって待ち望んでいる段階である。

僕の想像では、新サービスは通所介護事業所が、訪問サービスを日常的に行うことができるという点を中心にサービスの構築をしていくものと思える。

資格を特に持たない通所介護職員が、利用者ニーズに応じて、通所介護事業所内で行うサービス内容にとらわれない生活援助や身体介護を自宅訪問して行うように設計していくのではないか・・・。

う〜ん・・・やっぱ小規模多機能型居宅介護との差別化ができそうもない・・・。困ったな。
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