昨日(12/5)に開催された、『第104回社会保障審議会介護保険部会』では、介護保険制度の見直しに関する意見(案)が示された。
昨日の審議を受けて、この案が正式な意見書となって諮問されるわけであるから、この意見(案)はかなり重要な資料であると言える。
しかしこの案を見てわかる通り、最終28頁の「2.給付と負担」は、記載事項がなく空白のまま提出されている。
これは、関係者間の調整が難航しているためであり、現時点で方向性も示すことはできなかったことを意味している。
この部分の焦点は、利用者自己負担の2割負担者の拡大が実現できるか、拡大するとしても後期高齢者医療並みに、年金+その他の所得の合計額が200万以上の層まで拡大できるかどうかが焦点となる。(※現状は、年額280万円以上〜340万円未満が2割負担)
首相は利用者負担増を実現したい意向だが、物価高で国民負担を増やせないと考える勢力の力が大きくなりつつある現状から、年内にこの調整が終わるかどうかは不透明で、結論は年明けになるという見方が強まっている。どちらにしても今後の注目点であることは間違いないところだ。
一方で、要介護1と2の訪問介護・通所介護を市町村の総合事業へ移す案と、居宅介護支援費の利用者負担導入案は、年内に見送りが決まる見通しである。この点では、関係者は胸をなでおろして良いと思う。

資料6頁には、「 複数の在宅サービス(訪問や通所系サービスなど)を組み合わせて提供する複合型サービスの類型などを設けることも検討することが適当である。」として、地域密着サービスの新類型サービスの創設が示されている。新サービスの創設は決定事項と考えてよく、今後既存の小規模多機能型居宅介護との差別化を含めて、サービスの方法や報酬体系などが今後具体化されていくことになる。ここも大きな注目点である。
7頁には、「介護サービス全体として、科学的介護が推進されているところ、ケアマネジメントについてもケアプラン情報の利活用を通じて質の向上を図っていくことが重要である。」という文言がある。
これは居宅介護支援事業への、科学的介護に関連した新加算の創設の指摘ではないのか・・・。居宅介護支援事業所は、利用者情報をLIFEに送る必要がないため(実際にサービス提供している居宅サービス事業所から情報を送っているため。)、居宅サービス計画書に位置づけたサービス事業所にLIFEからフィードバックされた内容を、サービス担当者会議等で検討し、各事業所においてフィードバックのPDCA活用が行われているかを確認するなどして、新加算を算定するような形を想定した文章にも読める。深読みだろうか・・・。
個人的には9頁の、(施設入所者への医療提供)が気になっている
〇 特別養護老人ホームにおける医療ニーズへの適切な対応のあり方について、配置医師の実態等も踏まえつつ、引き続き、診療報酬や介護報酬上の取扱いも含めて、検討を進めることが適当である。
↑いったいこれはどのような方向性を示したものだろう。昨日の部会では、全国老施協の代表委員がこの内容に賛同の意見を述べていたことから、特養の医療を老健のようにマルメにするような指摘ではないと思える。特養の医療提供に介護報酬加算を新設するという意味なのだろうか・・・。どなたかこの内容に思い当たる人がいたら、是非ご意見いただきたい。
11頁では、(介護情報利活用の推進)として、介護情報(介護レセプト情報、要介護認定情報、LIFE情報、ケアプラン、主治医意見書等)と医療情報の集約及び一体的運用を地域支援事業として行うことが提言されている。しかし地域レベルでこうした情報を管理して、果たして個人情報の保護などが十分機能するのだろうか。心配である。
15頁は、予防プランを居宅介護支援事業所が直接所管できるようにすべきだと書かれており、これも年内に正式決定されるだろう。ただここでは予防プランへの地域包括支援センターの一定の関与には触れられていない。このまま関与なしに、予防プランの所管拡大が実現することを望みたい。
ざっと気になった点についてまとめてみたが、読者の皆さんはほかにどんな点が気になったあであろうか。気が付いた点などあれば、コメントなどで是非ご意見を頂きたいと思う。
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