介護の仕事に携わる人達の中で、「理想と現実は違う」と平気で口にする輩が多いように思う。

そんな当たり前のことを、よくも恥も外聞もなく口にできるものだなと思う。馬鹿じゃないかとも思う。

理想が現実と違うのは当然ではないか。だが理想を持たないと仕事は面白くもなんともないのである。だから現実以上の理想を頭に思い浮かべながら仕事をすることは、何にもおかしなことではないし、むしろ必要なことである場合が多い。

だから理想と現実は違うなんてことは、人前で口にするような問題ではないのである。

そんな言葉を実習生の前で口にして、あたかも自分が介護の現実をすべて知っているかのように見せようとする姿や言葉は、少しも格好良くない。それは醜く恥ずかしい姿でしかないことを本人が気づかないのだから救いようがない。
三日月
もっと滑稽なのは、「理想と現実は違う」と口にする輩は、理想と理念とを混同していることが多いということだ。

理念そのものを非現実的なものと捉えている状態は、あまりにも知識がないことの証明でしかない。

理念とは、組織の存在意義や使命などを普遍的な形式にて基本的な価値観を表すことである。そして経営理念とは、事業体が持つ「何のために経営をするのか、経営そのものに関する考え方、目標、手段」のことである。

つまり経営理念とは、事業活動を行う際には指針として用いるべき極めて現実的な考え方なのである。

よって介護事業者が社会において、成し遂げるべき役割は、この理念を達する方向で規定されるし、将来的に達成したい状態や、時期や売上など具体的な到達目標も、理念への達成という方向で考えられるのである。

理念を持つことによって、経営者は他の様々なものの影響を受けず、自信をもって広い視野で、かつ長期的な視点をもって経営に携わることができるのである。

それが現実とは異なるなんてことにはならず、理念を空論だと勘違いするものは、人の上に立って事業経営に参画することなんてできるはずがない。

そして優れた経営者であればあるほど、その理念は理想に近いものとなっていく。平気で理念を理想に置き換えられる達人もいたりする。

そんなふうに理想と理念の概念は異なれど、その実態は置き換えることができるのである。

しかし、「理想と現実は違う」と平気で口にする人間にそんなことはできない。だからそんな言葉を口にすればするほど、その人間は社会の底辺をさまよって生きるしかない存在で終わるしかないというわけである。

だから覚悟のある人間や、人の上に立って事業経営に携わろうという志を持つ人間は、「理想と現実は違う」なんて言葉を軽々しく口に出すなんてことはしない。

これから介護業界の明日を担う若い人たちは是非そのことを理解して、非建設的な言葉を軽々しく口にしてニヒルを気取るような大人になるなと言いたい。

理想は現実ではなくとも、若い人には現実を変える力があることを信じてほしい。

僕はそんな人々を応援したいと思う。
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