介護事業関係者にとって朗報ともいえるニュースが飛び込んできた。

昨晩ロイター通信がネット配信した、介護保険制度改正関連記事の内容は以下の通りである。
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国内社会(共同)2022年11月28日8:50 午後より転載
ケアプラン有料化、先送りへ
厚労省は介護保険制度見直しを巡り、サービスを利用する際に必須となる「ケアプラン」(介護計画)作成の有料化を先送りする方向で検討に入った。3年に1度の制度見直しで課題とされたが、利用控えが起きるとの懸念が相次いでいた。複数の関係者が28日明らかにした。

与党から負担増に慎重論が強まり、民間団体からも異論が出ていた。

議論の中で、介護度が比較的軽い要介護1、2の人が使う訪問介護のうち、掃除や洗濯といった生活援助サービスの事業主体を、国から地方へ移す案が出ている。これについても見送る方向で調整する。

厚労省は社会保障審議会の部会での議論を踏まえ、最終決定する。(記事転載以上
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居宅介護支援費の自己負担導入と、要介護1と2の訪問介護・通所介護の地域支援事業化という二つの大きな改正案が見送られることになって、胸をなでおろしている人が多いことだろう。

両案については、僕も反対である旨をその理由とともに何度もこのブログで意見具申してきたので、ひとまず先送りされたことは喜ばしいことだと思っている。

しかし両改革案は、次の制度改正(2027年度改正)でも必ず議論の俎上に上ってくることは間違いのないところだ。その時もしっかりとダメ出しができる理論武装を今から準備していかねばならない。

特に軽介護者の通所介護が地域支援事業化される場合、全国で相当数の通所介護事業所が廃業を余儀なくされるだろう。(参照:もし軽介護者の通所介護が総合事業化されたとしたら・・・。

そうなることは深刻な問題と受け止めて、制度あってサービスなしという状況を作らないための反対論を展開していく必要がある。
樹氷の道
そのような方針の一方で、厚労省は昨日開催された、第103回社会保障審議会介護保険部会において、利用者自己負担の2割対象者の拡大案を、「検討してはどうか」という形で、改めて議論の俎上に載せている。

与党議員の中には、物価高という世相を鑑みて、国民負担増は難しいという考えを持つ人も多くなっているが、負担と給付のあり方を見直して制度の持続可能性を高めるという制度改正の目的を達するために、この利用者負担増が最大目標とされて議論されていくことは間違いなく、後期高齢者医療制度並みに自己負担が引き上げられる可能性は高まったといえるだろう。(参照:骨太改革2022に盛られた毒と次期介護報酬の動向

このほか今後議論されるであろう論点を整理してみよう。

福祉用具については、歩行補助つえや固定用スロープなど、比較的廉価である程度中長期の利用が見られる福祉用具の貸与と販売の選択制の是非が、議論の俎上に上ってくるだろう。

ICT等を活用した人員配置基準緩和も、各種サービスで検討されることとなる。

老健と介護医療院の多床室の室料について、特養と同様に自己負担を導入することは極めて実現性が高いと思われる。

訪問と通所などを組み合わせた新サービスの創設は、小規模多機能居宅介護との差別化が重要課題となりながら具体案が示されてくる。

予防プランの作成を居宅介護支援事業所も担えることになるが、その際の地域包括支援センターの関与の是非や、その条件も具体化してくる。

特養の特例入所を改めて周知して適用を広く図ることは決定事項である。

佳境に入った次期介護制度改正論議に、目が離せない状況がしばらくは続くことになる。
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