日本介護支援専門員協会が、13日に開催された自民党の「日本ケアマネジメント推進議員連盟」で、介護支援専門員登録証の発行元を都道府県から国に変えることを要望した。

このきっかけになった出来事は、2003年に政府が閣議決定した答弁書で、介護支援専門員資格が、「国家資格」であるとされていたことによるものであり、その経緯については今年初めに、「介護支援専門員って国家資格だったのか・・・。」という記事を書いてお知らせしていたところである。

日本介護支援専門員協会の言い分は、そうであるなら登録証発行者も都道府県知事名ではなく、厚労大臣名にすべきというものだ。

介護支援専門員の地位向上につなげるという意味も含め、「国家資格にふさわしい形にお願いしたい」と求めているとのことである。

しかしである・・・。同協会の要望の意味もわからないではないが、仮に登録証の発行者が厚労大臣になったからと言って、介護支援専門員の地位が向上するのかと問いたい。

そもそも介護事業とは関係のない一般国民は、介護支援専門員が長いこと都道府県資格であると思われてきたことさえ知る人はほとんどいない。ましてや登録証の発行者が、大臣か都道府県知事かなど知る由もないし、興味もない人がほとんどだ。

仮に発行者が厚労大臣名となったとしても、それだけで世間の目が違ってくるなんてことはなく、介護支援専門員の価値があがるわけではないし、地位が向上するわけでもない。

そもそも今現在だって、利用者から信頼されている介護支援専門員は、全国の地域にたくさんおられる。「ケアマネのあなたがいるから地域で暮らし続けられます」で紹介したように、介護支援専門員の誕生と、その後の活躍によって暮らしを支えてもらっている人は、全国にたくさん居られ、その方々は介護支援専門員を頼り、あるいはリスペクトしているのである。

そうであるにもかかわらず、介護支援専門員の地位向上を叫ばねばならない理由は、介護支援専門員が専従でケアマネジメント業務に携わる居宅介護支援事業の給付費が、その仕事にふさわしいレベルになっておらず、介護職員と比べて処遇改善の必要性も認められていないからであろう。

日本介護支援専門員協会もジレンマもそこにあって、介護支援専門員が国家資格であることを広くアピールすることで、国民に「たいしたものだ」という印象を与え、地位を向上させたいということであり、その先には国家資格に見合う形で、「介護支援専門員の待遇向上」を見据えているのだろう。
美瑛の景色
しかし居宅介護支援費が思ったほど上がらないのは、ケアマネジャーの仕事ぶりのせいではなく、この事業が併設事業とセットで考えられ、併設事業の収益を増やすための顧客確保機能を見越した価格設定が行われてからだ。そこには介護支援専門員が国家資格か都道府県資格かということはあまり影響しない。

処遇改善に至っては、サービスの担い手の確保のために政策的に行っていることで、国家資格である介護福祉士の資格を持たない介護職も、処遇改善対象になっていることを鑑みると、介護支援専門員が、国家資格であろうと都道府県資格であろうと、処遇改善に関してはあまり意味がないともいえる。

このような制度設計や報酬構造、社会情勢を総合的に考えると、介護支援専門員登録証の発行元がどこであろうと、どうでもよいことのように思えてならない。

それより国が制度改正・報酬改定の度に指摘しているのは、達人ケアマネがいる反面で、囲い込みなどの不適切サービスのための計画作成しか行わないようなケアマネがいるという点であり、居宅介護支援サービス利用者の不満も、「ケアマネのスキル差・個人差」という問題である。

もっとこの問題に目を向けて、その解決に向けた提言を行うなど、そちらの方にエネルギーを費やしたほうが良いのではないかと考えるのは、僕だけではあるまい。

そうしないことには、あっち向いてホイの活動ばかり目立ってしょうもない団体であるとの誹りが免れなくなる・・・。
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