コロナ禍という状況で、クラスター感染が多くの施設で発生した高齢者施設では、長期間の面会制限が続けられおり、いまだに制限解除ができない施設も多くなっています。

しかし介護施設関係者もそのことを当たり前とは思っておらず、心苦しく思いながら、何とか制限の解除をしたいと思いつつも、実際にクラスター感染に見舞われた施設の大変な状況を知るにつけ、その決断ができかねている状況について、「介護施設は決して安易に面会制限を続けているわけではない」という記事の中でお知らせしています。

そこでは僕が管理する表の掲示板の、「施設の面会制限とQOLのバランスはどのように取っていますか?」というスレッドを紹介して、全国の介護施設の情報提供を呼び掛けたところです。
声なき声を聴く介護
そのスレッドに昨日(10/6)、大阪の特養にお母さまを入所させている、「つくし」さんという方から次のようなコメントが書き込まれています。(※表の掲示板の当該コメントを複写します
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母が大阪の特養に入所しています。
2020年3月からずっと面会制限が続いています。
大阪府の新型コロナ警戒信号が赤色の場合はリモート面会のみ、黄色の場合は面会室でアクリル板越しの対面面会、いずれも月1回10分間限定、青色の場合は居室で週1回程度30分以内の面会となっていますが、黄色や青になってもすぐには対面面会を再開していただけないので、この2年半の間で居室で面会ができたのは2週間程度だけでした。

コロナ前は毎日仕事帰りに施設に通い、母の食事介助を続けておりましたので、この先に取り返すことのできない貴重な母との時間を失い続けることが筆舌につくしがたい苦しみであり、実に残酷な措置だと思っています。

面会の要望は、親の介護を助けていただいている立場の家族からは大変申し上げにくいものです。おそらく家族は本当の思いの10分の1も声にできていないと思います。

母の施設ではいつも「大阪府からの要請なのでご理解ください」の一文だけで一方的に決定事項が家族に通知されます。懸命に介護を続けて下さっている施設職員の皆様には心から感謝していますし、制限の解除は施設にとってはご負担になるということは重々承知しておりますが、3年目に入ってもこの扱いを続けられることに家族としては、正直なところ納得できていません。

一度きりの人生の終末期に2年半も延々と自由を奪われ続けることがどれほど辛く、苦しいことか、どうか自分事として想像してみてほしいのです。要介護高齢者であっても人間です。コロナ回避のための今のような生き方を本当に受け入れているでしょうか。

これほどの長期に渡る制限は人権にかかわる重大な問題であり、施設、入所者、家族が十分に議論を重ねた上で決めなければいけないことではないでしょうか。
入所者と家族の面会、触れ合いは「なくてもいいもの」ではなく、必要不可欠なケアの一つと捉えて今後の対応を共に考えていただきたいと思います。(複写ここまで
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介護施設の関係者は、こうした声に真摯に耳を傾けなければならないと思うのです。

面会制限やむなしとして一方的にその制限を利用者や家族に押し付けて終わりではなく、こうした声があるという事実を受けとめ、同じような思いを抱いて、その思いを口にできない多くの家族が存在しているであろうことに思いを馳せる必要があると思います。

つくしさんと同じように、やるせない思いを抱いている声なき声が全国に満ち満ちているのだということを、私たちは忘れてはならないと思います。

できればそういう声を、直接施設側に届けることができて、それに対して施設側の担当者が、真摯に耳を傾け、丁寧に説明できる機会を創る必要もあると思います。ICTやSNSは、こうしたことのためにも活用すべきではないでしょうか。

一片の葉書だけで、面会制限を通知するのではなく、オンラインを利用できる人は、「面会制限の理解とお願い」を配信して、意見を述べたい方には、画面を通して意見交換を行う。そういう場で意見を言えない人は、ラインやフェイスブックのメッセンジャーから意見を送ることができるようにして、施設に物申すチャンネルを作っておくことが、施設と家族の信頼関係を築くうえで重要になるのではないでしょうか。

そうした努力の上で、長期間の面会制限は初めて許されるのだと考える謙虚さがないと、私たちは知らず知らずのうちに、護るべき人たちを傷つけてしまうのではないでしょうか。

それは私たちの本意ではないはずです。
誰かのあかい花になるために
誰かのあかい花になるための努力は、人の心を慮り、できる限りの優しさをそこにそそぐ心づもがあってはじめて実を結ぶのではないでしょうか。

私たちの職業とは、人を慮り、人を愛する職業であることを忘れてはならないのです・・・。
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