僕は今、自家用車で札幌に向かってる。目的地は高速を走ると2時間弱で到着できるが、急ぐ旅ではないので下道を通って、途中、苫小牧市で休憩している最中だ。

ちょうどお昼になったので、食事を摂ったあと、少しだけくつろぎながらこの記事を更新アップしているところだ。(※ちなみに苫小牧市は、僕の中では海鮮丼のメッカというイメージなので、それを食べた。週末にでも、こちらのブログ記事で紹介しようと思う

さて今日は札幌市内の社会福祉法人さんの職員研修として、「介護施設における看取り介護リビングウイルから終末期対応まで」というテーマの講演を行う予定が入っている。そのための移動の最中である。

その法人さんでは、まだ看取り介護加算の算定を届け出ていないが、これから研修を重ねて看取り介護の実践に取り込もうとしているとのことである。僕の今日の講演が、そのきっかけになって、看取り介護を行う自信につながってほしいと思う。

そもそも看取り介護とは特別な介護ではない。それは日常介護の延長線上に、ごく自然に存在しなければならない介護であって、介護を職業としている人は、看取り介護の場に自分が関わることは当たり前のことであると考えて、終末期の人の状態・良く起こる症状・それにどう対応するかなどを基礎知識として備え置く必要がある。

それは看取り介護スキルではなく、「介護スキル」そのものだからである。

死を厳粛なるものと考えること、受け止めることは悪いことではない。それはとりもなおさず命の尊さに思いを馳せているという意味に他ならないからだ。
誰かのあかい花になるために
だが人は必ず死ぬ・・・。人の致死率は100%である。だから厳粛なる死であっても、そこに関わる人に、特別な資格が必要と考えるのは少し違う。人として、厳粛なる死に真摯に関わる気持ちを持つことができるなら、誰しもがそこに関わってよいのである。

先日、僕の看取り介護講演をオンライン視聴した方から手紙が届いた。その一節を紹介したい。
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(前半省略)「看取り介護は特別なケアではなく、日常のケアの延長」というmasaさんの言葉に衝撃を受けました。私は普通高校を出て、介護保険のスタートと同時に今の法人に介護職として入職いたしました。当時はまだ、「ターミナルケア」という言葉も聞かず(私が知らないだけだったかもしれませんが)看護師が中心となって終末期の方の支援を行っていました。そんな中で一人の高齢女性の支援を通し、介護のすばらしさを学び、奥深さを実感する経験をしました。それが今も自分の介護観の根本となっております。

そのようなこともあってか、私自身看取り支援には特別な思いがあり、後輩にも看取り介護の経験をしてほしいと考えておりました。しかしながら今回のmasaさんの言葉を聞いて、自分の中で看取り介護に対し、「普段の介護」と「看取り介護」を分け、勝手に「崇高な支援」とバイアスが働いていたことに気づきました。

看取り介護は特別な支援ではなく、看取り介護になったから、何か対応を変えるなどでもなく、当たり前のケアの延長にあり、普段の関りの中で関係性を築いていくことの大切さ、命のバトンリレー支援の素晴らしさを深く学び、このことを後輩に伝えていきたいと思っております。命はリレーされる。きっと私たち職員にもリレーされることだと思います。(以下略)
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以上が頂いた感想である。

僕が講演で伝えたかった思いをしっかり受け止めていただいて感謝している。

受講者の方には、看取り介護に関してそれぞれの思いが様々に存在していると思うが、その思いを僕の考えとつなげて、より良い介護実践につなげていただくことが一番大事だ。

看取り介護は、やり直しの効かないたった一度の、一時期だけのケアである。そこでは私たちが何をしたいのかではなく、逝く人と遺される人の思いを大切にしなければならない。

看取る人・看取られる人がこの世で結ぶ最後の縁、この世で残す最後のエピソード・・・その支援のために、私たちはできる限りの手を尽くすことが必要とされるのだ。

そしてその基盤は、日常からのADL支援・QOLの向上支援であることを忘れてはならないのである。

毎日繰り返される日常・・・その中でおむつが濡れたままで放置されている人が、看取り介護になった途端に部屋を飾り立て、音楽を流して看取っても、何の意味もないという当たり前のことに気が付かねばならないのである。

息を止める最後の瞬間に、傍らにいることが許される関係性を、日常支援の中で結んでおくこと・・・それが何より大事である。
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※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

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