株式会社マイナビが運営する介護経営支援サイト、「メディカルサポネット」の連載、「菊地雅洋の激アツ!介護経営塾 〜選ばれる介護事業所であり続けよ〜」は今回がいよいよ最終回。テーマは、「どうなっていく?介護事業の未来」としておりますので、どうぞ連載名に貼り付けた文字リンク先を参照してください。
さて話は変わって本題に移ろう。
このブログ読者の方々は、ほとんど介護事業に携わっている人だと思う。
そんな方々は、介護という職業がどのような職業であってほしいと願っているのだろう。そして自分の職場がどんな職場になってほしいと思っているだろうか。
例えば介護施設の某職員が、こんなふうに考えているとしたらどう思うだろう・・・。
『給料は他と比べても悪くありません。休みもそこそこ取れます。職場の人間関係は、嫌な上司や口うるさい先輩はいるけれども、和気あいあいと話せる同僚もいるし、嫌な人間とはなるべく近づかずに話しかけられても無視してやり過ごしています。
仕事は先輩方のやり方を見よう見まねで覚えたうえで、自分の考えたことを加えたやり方で何とかこなせています。
利用者は認知症の人が多くて、わけのわからない言動に戸惑うことが多いけど、決められた作業を黙々とこなしてさえいれば、文句を言われることもないので辛くはありません。
夜勤はワンオペで大変でしょうと言われるけど、自分で決めたルールで、自分の思い通りに動いて一晩過ごせばよいので、特段苦痛でもありません。むしろ他人の目のない分、気楽なのがワンオペ夜勤も言えそうです。
利用者の暮らしって言いますけど、ほとんどの人が家にいたら一人で生きていけない人たちですから、ここにいるだけで衣食住に困らないのだからそれなりに良い暮らしと言えるのではないでしょうか。適当にレクリエーションの機会はありますし、おもしろくなさそうにそこに座っているだけの人がいたって、問題とは言えないと思います。』
・・・このような職場で働きたいと思う人はどれだけいるのだろう。こういう職場で介護の仕事を続けていて、介護の仕事にやりがいや面白みを感じることができるのだろうか。
職業を持つことは生活の糧を得るために必要なことであり、趣味とは違って好きという感情だけで選ぶことはできない。しかし「働く」という行為は、ある一定年齢まで何十年も続けなければならない行為でもあり、嫌々惰性で続けるとしたら、人生の中で大事な時間を無駄にしているように思えてならない。
だからこそ自分の適性に合った職業を選んで、仕事に誇りややりがいを感ずることができるということが非常に大切なことだと思う。それが自らの人生を豊かにすることにもつながるのではないかと考えている。
勿論、生活の糧を得ることが職業を持つことの最大の目的だから、仕事に見合った対価を得ることは非常に重要なことではある。しかしそれが即ちやりがいにつながるとは限らないと思うのだ。
僕は志を高くもって、社会福祉の勉強をしたわけではない。理系が自分には合わないと思ったので、文系の大学に進もうと思った。その時、たまたま道内の大学で社会福祉を選考する道が、自分の能力と適正に見合っているのではないかと思い、恐る恐るこの道に踏み出した。
そして大学生活4年間の中で、様々な他者の「人生」に触れる機会を持った。障がいを抱えた状態でこの世に生まれ出た子やその親、家族に恵まれない子供、家族から理不尽な暴力などの虐待を受け続けている人々・・・。
そのような出会いに困惑したり、否定的な感情を持つことも少なくはなかったが、それ以上に他者の人生の一端に触れて、そこに関ることにやりがいを感じた。自分が関わることで、無表情だった人の顔がほころんだり、心の底から湧きあがる笑顔を見られたときは、自分自身が幸せな気持ちになることができた。

社会福祉事業・対人援助の仕事のだいご味とは、自分が関わりを持つことが許された他者の人生を少しでも豊かにすることだと思う。そこで生まれる心からの笑顔や、穏やかな表情に出会うことができることだと思う。その時の感謝の言葉は、僕たちにとって何よりのご褒美だ。
だから介護事業に携わる以上、そこでかかわる人たちの命をつなぐだけの最低限の関りでよいなんて思わない。制度の光をくまなく届け、私たちのできる限りの支援の手を差し伸べ、我々の支援の手を必要とする人たちの、人としての尊厳が護られ、少しでも幸せを感じてほしいと思う。
少なくとも利用者の哀しみや、苦しみの上に、私たちの暮らしが成り立つことなんてあってはならないと思う。それは人として許されない考えのように思うし、誰よりも貧しい心でしかないと言われても仕方がないことのように思う。
介護事業というものは、決して他の職業より崇高な職業ではないし、数ある職業の一つにしか過ぎないことは事実だ。だけれども介護事業は、そこに自分の人生そのものを預ける利用者の方々の存在によってはじめて成り立つ職業だ。
それは介護という職業が、誰かの人生の幸福度に大きく影響するという意味だ。そのことに使命感と誇りを抱いて、その誇りを護るための知識や技術を磨き、結果を出す介護事業を目指し続けることが、自らの人生を豊かにする唯一の道ではないかと思う。
そうした志を共にする仲間と、つながり続けて歩き続けたいと思う。このブログにも、そういう志を抱く人に集まってもらいたい・・・。
メディカルサポネットの連載、菊地雅洋の激アツ!介護経営塾 〜選ばれる介護事業所であり続けよ〜の最終回は、「どうなっていく?介護事業の未来」です。こちらも是非参照ください。

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笑い事でないのは百も承知ですが、「菊池先生、うまいこと言語化してくださったな…」と不覚にも笑ってしまった自分がいます。
と同時に、まともな介護職員とダメ介護職員の意識の違いが明確に理解できました。
実は私、ダメ介護職員からパワハラを受け、心身不調に陥ったので、5月末で介護業界から離れました。
仕事そのものは好きだったので、悔しい気持ちでいっぱいですが、己の身の安全が最優先なので…。
幸い介護業界は復帰が比較的しやすい業界なので、今は療養を優先し、今後素晴らしい施設とご縁があれば復帰できればと思っています。
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