総務省が今月9日に発表した、「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和4年1月1日現在)」によると、昨年の日本人の出生数が前年より3万1285人少ない81万2036人だった。
この数字は1979年の調査開始以来の過去最少を更新するものである。そして過去最少更新はこれで6年連続となっている。
昨年生まれた子供の数が過去最低人数となったということは、その子供たちが成人に達する2041年は、過去最少の新成人数となることが確定したわけである。それも6年連続の最少更新となるわけだ。
だが今年、出生数が目に見えて増加しているわけではないので、今年以降も出生数が減ると2042年以降もさらに新成人数が減っていく可能性がある。当然、生産年齢人口や労働力人口も減っていくだろう。(※下記図参照)
少子化に歯止めがかからないのだから、それはそのまま我が国の労働力不足に直結する問題であり、特に機械に代替できない労働部分が多い対人援助事業・介護事業にとっては深刻な影響を及ぼす可能性が高い問題となる。
しかも我が国では後期高齢者の数は2042年にピークを迎え、同時に要介護者の数もそれまで増え続けると想定されているのである。
後期高齢者や要介護者がピークに達する年に、労働力人口は今よりずっと減っているわけだ。
2042年以降は、後期高齢者や要介護者の数は減っていくと予測されているが、その減り方以上に生産年齢人口と労働力人口が減っていくことになり、介護業界は全体として今より深刻な人材不足・人員不足に直面することになる。
20年後に介護事業経営に携わっている人は、顧客確保に困らないとしても、顧客にサービスを提供できる従業員を確実に確保することができるだろうか・・・。今からその備えをしておかねばならない。
当然、国内労働者だけで十分な従業員を確保することは不可能だから、外国の方々が張り付く職場づくりも求めらえるだろうし、介護の仕事を志す人だけではなく、他の産業からも転職しやすい職場を目指していかねばならず、同時に一度就業した人が定着する職場づくりを何よりも目指していかねばならない。
この問題を国の施策で解決できるなんて甘い見込みを持たずに、地域の中で従業員の確保競争に勝っていくための環境を整えたり、アイテムを手に入れる必要がある。
勿論、給与等の待遇が良いということも必要だし、キャリアパスも充実させねばならないだろう。現に介護職員の離職率は、21.6%だった2007年度をピークとして低下傾向が続いているが、これは2008年度から介護職員の処遇改善が国レベルで議論の俎上に上り、2009年の介護報酬のプラス改定につながったことと、2009年10月〜介護職員処遇改善交付金(処遇改善加算の前身)の支給が始まったことと合致している。
具体的な処遇改善の動きが介護職員の定着に繋がっているのである。よって今後は、3階建てとなる処遇改善加算の最上位加算をすべて算定するのが常識となるし、「他の職員との均衡がとれない」などと呑気なことを宣って、この加算の算定を軽視する事業者には人が集まらず、廃業へ向かわねばならないことは明らかである。
しかしそんなことは誰もがわかっているし、くまなく加算を拾っていくなどということはどこでもやろうとしていることだ。皆が横に慣れの対策を立てているときに、それと同じことをしていても、人は集まらないと考えるべきである。
だからと言って公費経営・公的ルールで運営する介護事業者であるからこそ、青天井で給与を引き上げることはできないことも事実だ。
そうであれば、待遇にプラスしてモチベーションを高めるものは何かということに意識を向かわせなければならない。
介護という職業に志を高く持ち続ける人が、その仕事を続けていくことができ、そうした人がより多く集まる場所に、顧客も集まるのだというごく当たり前のことに気が付いて、そこの部分の充実を図ることが、今後20年後以降も介護事業経営を継続できる最大の武器になることだろう。
そのことを理解する経営者だけが生き残っていけるのである。
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シーズン中たまに日ハムの想いを聞かせてもらえれば(BIGBOSSの采配とか)。
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