2024年度の制度改正・報酬改定について議論する時期は、衆議院の解散がなければ国政選挙が3年先までない、「黄金の3年」という時期に行われるので、国民に痛みを求めても選挙でそのしっぺ返しが行われることを心配しなくてよい時期でもある。

それを見越したわけでもないだろうが、政府は7月29日の経済財政諮問会議で、来年度予算案の編成に向けた基本的な考え方(令和5年度の予算の全体像)をまとめた中で、「利用者負担の見直しを含む持続性の確保」に取り組むと明記した。

これによって介護保険サービス利用時の2割負担者と3割負担者の拡大は必至の状況である。

同時にそれは将来的に介護サービス利用時の負担割合は、1割負担をなくして2割負担からとすることにもつながっていくだろう。

さらに居宅介護支援費の自己負担導入についても可能性が高まっている。

この問題では財務省が強く自己負担導入を主張しているが、2022.4.13財政制度等審議会資料の79頁にもそのことが書かれている。

文字リンクを貼っているのでその部分を確認してほしいが、「居宅介護支援(ケアマネジメント)については、要介護者等が積極的にサービスを利用できるようにする観点から、利用者負担をとらない例外的取扱いがなされてきた。しかしながら、介護保険制度創設から20年を超え、サービス利用が定着し、他のサービスでは利用者負担があることも踏まえれば、利用者負担を導入することは当然である。」とされている。

一見それは論理的な主張に読まれてしまうが、よく考えてほしい。これは理屈が通らない財務省の横車でしかない。
屁理屈
居宅介護支援が全額公費となっていることにはいくつか理由があるが、「利用者個々の解決すべき課題、その心身の状況や置かれている環境等に応じて保健・医療・福祉にわたる指定居宅サービス等が、多様なサービス提供主体により総合的かつ効率的に提供されるよう、居宅介護支援を保険給付の対象として位置づけたものであり、その重要性に鑑みたものである。」として利用者負担をとらない例外的取扱いとしているのもその理由の一つである。

しかしサービスが定着したから、その理由=重要性が失われるとでもいうのだろうか。サービスが定着したことで、例外的取り扱いが必要なくなるという論理はおかしくないのか。

そもそも居宅サービス利用に必ずしも居宅サービス計画が必要とされるわけではない。にもかかわらず居宅サービス計画を作成する理由は、償還払いサービス現物給付化するためである。

本来償還払いであるはずの介護保険サービスを現物給付化し、合わせて介護支援専門員という有資格者が適切な計画を立案することで自立支援を目指すということが、居宅介護支援の最大の重要性である。

制度がスタートし、年数が経てばサービスは自ずと定着るのが当たり前だ。だからと言ってサービスの本質が変わるわけではなく、居宅介護支援の重要性も変化していないのである。

よって財務省の主張は、屁理屈で問題の本質を捻じ曲げているものとしか思えない。

単にサービス利用が定着したことを理由に、利用者自己負担導入を求めているのは筋が通らない乱暴な意見でしかないのである。

こんな捻じ曲がった理屈の通らない主張に与してはならない。

私たちは国民と利用者を護り、制度の光をあまねく人々に届ける責任と役割を持つ者として、正論を捨てることなく、主張すべきものは最後まで主張し、筋を通すべきものは筋を通して、国民にとって必要なサービスの在り方を護り通す姿勢が必要である。

ちなみに、「全国老施協が居宅介護支援費の自己負担導入を容認」という記事に、inaさんがコメントを書いてくれているが、その内容は全国老施協が自己負担容認と指摘された部分を削除したとのことである。

例えばこちらの報道では、「老施協、居宅介護支援の利用者負担の導入を一部容認」とされている。これらの世間の評価を受け、はじめて事態の深刻さに気が付いたということだろう。(※文字リンク先を参照いただきたい)

この要望書内容から言えば、世間からそのような評価を受けることは当たり前なのに、そこに気が付かずに国への要望書を書き上げて承認したという事実が、この組織の頭脳がへたっていることを証明している。

一旦世に出て、これだけ大きく報道されたものを訂正削除したからと言って、世間に与えた印象そのものは消すことができないのだ。そのことを全国老施協執行部は理解しているのだろうか。

なんともお粗末な対応であり、迷走する全国老施協よ大丈夫かと言いたくなる・・・。

そういう意味では、全国老施協に今必要とされるのは、頭脳役を担う外部アドバイザーの存在だろう。現状の頭脳レベルでは、もうどうしようもないと思う。
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