2021年度の介護報酬改定は、コロナ禍の真っ最中に行われたために、感染予防対策が基準省令等に反映されることも少なくなかった。
サービス計画作成のためのサービス担当者会議の基準もその一つで、感染予防特例として認められたサービス担当者会議のオンライン対応を、通常対応として認める基準改正が行われた。
下記に居宅介護支援と施設サービスの基準をそれぞれ示しているので、赤色に文字色を変えている部分をそれぞれ確認していただきたい。
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(指定居宅介護支援の具体的取扱方針)
第十三条「九.介護支援専門員は、サービス担当者会議(介護支援専門員が居宅サービス計画の作成のために、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を招集して行う会議(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。ただし、利用者又はその家族(以下この号において「利用者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該利用者等の同意を得なければならない。)をいう。以下同じ。)の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、利用者(末期の悪性腫瘍の患者に限る。)の心身の状況等により、主治の医師又は歯科医師(以下この条において「主治の医師等」という。)の意見を勘案して必要と認める場合その他のやむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。」
(施設サービス計画の作成)
第十二条「6.計画担当介護支援専門員は、サービス担当者会議(入所者に対する指定介護福祉施設サービスの提供に当たる他の担当者(以下この条において「担当者」という。)を招集して行う会議(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。ただし、入所者又はその家族(以下この号において「入所者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該入所者等の同意を得なければならない。)をいう。以下同じ。)の開催、担当者に対する照会等により、当該施設サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。」
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これによって居宅サービス計画の作成に関するサービス担当者会議は、Zoom等を利用してオンラインで行われることが多くなった。
担当者会議に召集されるメンバーは、どこにいても会議に参加できる点で、それは歓迎されることだろうし、会議を主催するケアマネジャーも、それぞれ所属が異なるサービス担当者の会議参加への調整が楽になっている。そういう意味では、担当者会議メンバー全員にメリットのある基準改正と言えそうだ。
しかし施設サービス計画書の作成に関して言えば、相変わらずメンバーを会議室等に集めて実施している施設が多い。それは同じ施設内で、わざわざネットにつなげてオンライン対応する必要もないという意味で、集まった方が手っ取り早いという意味もあるのだろう・・・。
しかしコロナ感染第7波の真っ最中の今、8/15・0時までの時点における介護施設における近直1週間のクラスター感染は736件で過去最多となっている。こうした状況を鑑みれば、できるだけ施設のスタッフも、直接介護する場面以外で密になることは防ぎたいものだ。
その時に利用してほしいのは、居宅介護支援とは異なる施設サービス計画書作成ルールである。
上に示した居宅介護支援と施設サービス計画の基準の文字色を緑色に表示している部分を見比べてもらいたい。
居宅サービス計画作成におけるサービス担当者会議と担当者への照会ルールについては、末期の悪性腫瘍の患者以外の場合、「やむを得ない理由がある場合」しか照会で済ますことはできない。あくまでメンバーの会議参加が原則とされているのだ。
一方で、施設サービス計画作成におけるサービス担当者会議と担当者への照会ルールについては、「会議開催、担当者に対する照会等により」というふうに両者が同列となっており、最初から会議を開催しせず、「担当者から、専門的な見地からの意見を求める」ことで作成が認められているのである。

つまり特段の理由がなくとも照会のみで計画作成できるのだ。
これは施設サービスの場合、他の事業者職員がメンバーになることはなく、同じ施設で業務に従事するメンバー間でチームが構成されるために、日ごろから業務連絡としてコミュニケーションが交わされているから、必ずしも一堂に会して意思疎通を行う必要がないという意味だ。
このルールを利用して、施設サービス計画作成の際には、サービス担当者会議ではなく、各担当者への照会を原則にして、困難ケースのみ会議形式で話し合いを行うなどと発想転換しておいたほうが良いと思う。
実際に照会だけで計画原案を作成しても、特に支障は感じないだろうし、会議という形式ではない場面で照会した方が案外スムースに意思疎通ができたりする。何より会議を行う場所を創って、そこにメンバーの集合をかけて、集まってから「よーいドン」をかけてスタートするより、効率的に計画作成でき、忙しいメンバーが会議で時間を潰さずに済む。
介護職員や看護職員が、利用者に直接対応する時間もその分増えるというものである。
施設サービス計画原案を創る際に、まだ担当者会議を原則開いている施設ケアマネジャーの皆様は、早急に検討を行うに値する問題だと思う。
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