今朝の北海道新聞朝刊には、「特養入所者の投票偽造 登別の施設長ら 容疑で書類送検」という記事が大きく報道されている。どうしん電子版(ネットニュース)にも同様の記事が配信されている。

特に朝刊紙面では、3面記事として大きく取り上げられて報道されている。
8/3の道新朝刊3面記事
先の参議院議員選挙の不在者投票で、認知症等で意思表示ができない入所者3人の道選挙区(改選数3)と比例代表の投票用紙を使い、施設長と事務員が不正投票を行ったという内容である。

記事によると、道警は、「事務員は勝手に自らが支持する自民党などと記載し、施設長は白票で投票した。」とみているとのことである。

当該施設は僕が7年前まで総合施設長を務めていた法人施設である。元の職場が世間をお騒がせして申し訳のない思いだ。

書類送検された施設長は僕から2代後の施設長で、僕が総合施設長を務めていた際は、母体医療法人の老健施設に勤めていた人だと思う。仕事を一緒にしたことはないが知り合いではある。

ご存じかと思うが、不在者投票を実施する施設への経費として、投票した有権者1人当たり1.073円が支払われる。これは投票用紙を請求した人数ではなく、実際に投票した人数に対して支払われるために、多くの事務作業を費やして不在者投票を行っているのだから、できるだけ多くの投票用紙を請求し、なおかつ投票行動に結び付けてほしいと思うのは人情である。しかし意思確認できない人の分まで投票用紙を請求し、なおかつ代理投票者の意思で投票するのはやりすぎである。

しかも請求できる経費があるといっても、わずか千円程度・・・。ゴミのような経費を請求するために、自分の経歴に汚点をつけるのは賢い選択とは言えない。

そもそも国政投票で、わずか3票増えたって何の意味もないだろうし、仮に入所者全員分の100票を不正操作したって、結果にはほとんど影響はない。なぜそんなことをしなければならないのか意味が分からない。

施設における不在者投票は、施設利用者の権利を護るためにあるものであるし、投票行動を通じて社会参加していることを実感してもらうためにこそ必要とされているもので、その目的をないがしろにする不正は許されることではない。

道警は2人について、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けて書類送検したそうであるが、今後は検察官の判断によって起訴するかどうかが決まる。起訴されてしまうと日本での有罪率は約99%となるので、執行猶予がついても前科がついてしまうことになる。

しかしこのような大それたことが、一施設の施設長判断で行われたのだろうか?どうもそうは思えない。もっと上からの指示や、上に対する忖度が働いたのではないかと疑ってしまう。

どちらにしても最高責任者は社福法人理事長であり、その責任は回避できない。これだけ大きな事件になっているのだから、その任を辞するのが筋だろう。今後の千葉泰二理事長(三愛病院院長)の身の処し方に注目する必要がある。

僕はもう7年間もその法人を離れているので、法人や施設の現状がどうなっているのかを知る身ではないが、投票管理において杜撰な状態になっていたことが今回明らかになったということになる。ケアの品質管理にも齟齬が生じていないかを心配しているところだ。大いに反省して、正常な状態に一日も早く戻してもらいたい。

さて話は変わるが、7/29の経済財政諮問会議は、来年度予算案の編成に向けた基本的な考え方をまとめ、次の2024年度の介護保険制度改正にも言及している。

当日の資料3-1の3頁目・3.歳出改革・ワイズスペンディングの推進(1)社会保障では、「セルフメディケーションの推進、ヘルスリテラシーの向上、インセンティブ付けなどを通じた、予防・重症化予防・健康づくりの推進」が挙げられている。

セルフメディケーションとは、「自分で病気を治すこと」であり、ヘルスリテラシーとは、「健康や医療に関する情報を探したり、活用したりする能力」という意味だから、この部分は介護予防の在り方を指しているのだろう。

軽介護者の生活援助や通所介護の地域支援事業化がこの目指すところに含まれてくる。

「利用者負担見直しを含む介護保険の持続性確保」・「給付と負担のバランスの確保」・「現役世代の負担上昇の抑制」・「後期高齢者医療制度の保険料賦課限度額の引上げを含む保険料負担の在り方等各種保険制度における能力に応じた負担の在り方等の総合的な検討」などは、2割負担・3割負担の対象者の拡大や、居宅介護支援費の自己負担導入などを視野に入れたものであることは誰もが気づくことだろう。

自己負担割合は将来的に2割がスタンダードになるレールが敷かれている。

そしてこの方針が令和5年度予算の編成の方針として示されている意味は、制度改正部分は、2024年度の報酬改定を待たずに、2023年度途中からの施行もあるということになる。2割負担と3割負担の範囲拡大は令和5年(2023年)10月1日からということもあり得るわけである。

どちらにしてもこれらは対象者だけではなく、介護事業者にも厳しい改正になりそうである。
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