社会全体の生産年齢人口が減少し、その改善見込みが立たない我が国では、全産業において人材確保が事業経営上の重大な課題となる。

介護事業においてもそれは同じである。しかも巧緻動作と力が必要な動作をつなげて、なおかつ感情ある人間に相対する介護という行為は、テクノロジーに置き換えることが最も難しい行為である。

よって介護事業において、人手をかけなくてよい部分は非常に少なくなるのだから、人材不足は他の産業より深刻で重大な事態を招くと言ってよい。

顧客がいるのにサービス提供できる従業員がいないために倒産する介護事業者は、今後間違いなく増えるだろう。

それと当時に従業員さえいれば顧客確保に困らず、収益が上がることから、数合わせの従業員確保に走り、辞められることを恐れてろくな教育もせずに、介護職員をサービスの場に放り出す事業者も増えることも想像に難くない。しかいそれは不適切サービス〜虐待の温床となり、事業経営者や管理責任者の手が後ろに回る危険性を内包した綱渡りの介護事業経営であると言って過言ではない。

だからこそ慎重な職員選考と、厳粛で効果ある職員育成システムの構築に努めねばならない。

有能な介護職員を育成するために最も重要となるのがOJTである。しかしOJTとは、先輩職員の後ろについて仕事を手伝いながら、先輩職員の仕事のやり方を見て覚えるというものではない。

本当のOJTとは、職場の上司や先輩が、部下や後輩に対し具体的な仕事を通じて仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指導し、介護という行為を実技として伝えて、技術を修得させる方法を指す。

OJTの真の意味とは、OJTの前に見て・聴いて覚えた知識を、実践の場で実行できるかを確認するということなのである。つまりOJTの前に、介護技術を言葉と文章で伝えるための座学教育が不可欠ということになる。(※下記画像は、僕の講義場面
入職時研修講演
僕は新入職員に対するこうした座学を、実務に入る前に少なくとも2週間は行わねばならないと思い、プログラムを組んできた。(※週休2日制だから、2週間プログラムとは10日間プログラムにしていたが、災害や感染症BCPの説明などを加えねばならないなど、入職時に必要とされる研修項目が増えているので、現在は12日間プログラムとしている。よって2週間+2日間で実施している。

ところで、『入職2週間の座学のカリキュラムをどう組めばよいかわからない。』とか『そもそも2週間も講義することがあるのか。』という疑問を持つ人も多いようだ。

そこで今日は僕が実践している2週間の座学プログラムを紹介してみようと思う。勿論その内容は年ごとに変わることになるが、一番最新の特養における入職時研修プログラムを示すこととする。下記参照願いたい。

なお講義は午前が9時から12時までの3時間(合間に休憩10分)、午後は13時〜16時までの3時間(合間に休憩10分)+演習振り返り16時10分〜17時の50分(合計3時間50分)としている。
(初日)
午前:法人理念と理念達成のために職員が行うべきこと(総合施設長)
午後:法人のルール全般(就業規則等も含めて)(事務長)
(2日目)
午前:職業倫理と地域ニーズ (総合施設長:相談室長)
午後:災害対策・感染予防・緊急対応マニュアル(BCPの内容も含む) (事務課長・相談室長・看護主任)
(3日目)
午前:チームケアと多職種連携について(法人内ルールを含む)(事務課長・相談室長)
午後:介護保険制度について・報酬算定のルールとそれに沿った記録について(事務課長・相談室長・主任ケアワーカー)
(4日目)
午前〜午後:サービスマナー研修(総合施設長・相談室長)
(5日目)
午前〜午後2時まで:サービスマナー研修(総合施設長・相談室長)
午後2時〜4時まで:挨拶・電話対応・来客対応の実際(演習含む)(外部講師)
(6日目)
午前〜午後:認知症の理解 (総合施設長・相談室長・看護主任)
(7日目)
午前〜午後:看取り介護について (総合施設長・相談室長・看護主任)
(8日目)
午前〜午後:メンタルヘルスケアについて(法人内の対策も含む)(事務長・事務課長)
(9日目)
午前:身体拘束廃止の取り組みについて(相談室長)
午後:介護マニュアルについて(主任ケアワーカー)
(10日目)
午前:利用者の栄養管理と褥瘡予防管理(管理栄養士・主任ケアワーカー)
午後:介護マニュアルについて(主任ケアワーカー)
(11日目)
午前:協力医療機関との連携(夜間緊急連絡体制なども含めて)(看護主任)
午後:介護マニュアルについて(主任ケアワーカー)
(12日目)
午前:人材育成について(キャリアパス制度も含めて)(事務長)
午後:介護マニュアルについ(主任ケアワーカー)

以上である。この中で入職時研修として職員に伝えなくてよくて、削ってよい時間があるだろうか。僕はOJTに入る前に、最低でもこうした内容は伝えるべきだと思い、上記の内容でプログラムを組んでおり、ここから削ることができるものはないと思っている。
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