岸田内閣が7月29日に閣議了解した2023年度予算の概算要求基準では、防衛費を増額する一方で、社会保障費の自然増は22年度の6.100億円から5.600億円に圧縮された。

ウクライナ情勢などの緊迫する世界情勢を受けて、防衛費が概算要求基準の対象外となる対極として、年金・医療・介護費用などの社会保障費は歳出削減の主舞台とされたわけである。

23年度は診療報酬・介護報酬の改定がなく、薬価改定のみが行われるため、薬価の大幅な引き下げが避けられない状況となったと言えるが、単年でこうした方針が変わるわけがなく、24年度の診療・介護報酬のダブル改定にもこの影響が及ぶものと考えなければならない。「骨太の方針2022紛糾後の顛末と介護報酬への影響」で指摘した懸念がさらに大きくなった。

そうなるといよいよ次期介護報酬改定は2015年度の過去最大の引き下げ並みか、それ以上の大幅な引き下げが現実味を帯びることになる。
暗闇にわずかな光しか見えない次期報酬改定
思い起こせば2015年改定はマイナス2.27%であったが、この数字は「介護職員処遇改善加算」のプラス1.65%分を含めての数字であった。それを除くと事業収入につながる基本報酬については、マイナス4.48%とされる衝撃的な数字であったのである。

当時僕は社会福祉法人の総合施設長を務めていたが、入所100人+ショート12人の特養の年間収入が、約800万円もの大幅減収となったことを記憶している。この減収分を補うために、それまで算定していなかった加算をこまめにチェックしなおして、できるだけ算定につなげる努力をした記憶もある。

当然次期改定時には、今以上の加算算定ができるように努力しなければ事業経営の危機につながるわけである。

既に算定し得る加算を取得済みの事業者においては、必ず新設される加算はあるので、それを取得する努力をしなければならない。

次の改定時に介護報酬に新設される加算とは、LIFE関連加算であることは間違いのないところだ。

現在この要件の加算のない居宅介護支援訪問介護等にも、LIFE関連加算は新設されるだろう。

そのなかで居宅介護支援は、利用者に直接的なサービスを提供するわけではないので、他のサービス事業のように利用者の情報をLIFEに送ることにはならない。おそらくサービス担当者会議等で、各サービス事業所にLIFEからフィードバックされた内容を持ち寄って話し合い、それを居宅サービス計画書にも反映させることによって、フィードバックのPDCA活用を図るような形を算定要件とするのだろう。

そうなるとLIFEからフィードバックを受ける加算を算定していない居宅サービス事業所は、居宅介護支援事業所から選択されなくなる可能性もある。そういう意味でも現在、「科学的介護推進体制加算」などは、確実に算定しておかねばならない加算である。

この加算を算定すると、提出情報の入力作業が大変になるのに、それに見合った報酬単位になっていないとして、いまだにこの加算を算定していない施設・事業所もあるが、21年度〜23年度まではLIFE要件に慣れて、24年度以降増えるLIFE関連加算に確実に対応する基盤を創る準備期間である。

さぼらず・怠けず、できるだけ早い時期に「科学的介護推進体制加算」を算定するようにしてほしい。

なおフィードバックは現在もまだ暫定版である。5月にこれが新バージョンに替っているが、その際の発出通知でLIFE関連の加算の算定要件であるPDCAサイクルへの活用については、「各事業所において、可能な範囲でご活用ください」と集計条件留意事項に記載されており、極めて限定的に行うだけでよいことになっている。

そうであれば暫定版が正式版になるまでは、フィードバック票をダウンロードした後、全体会議等でその内容を多職種で共有し、検討するだけでよいだろう。議事録にそのことをしっかり記録しておけば問題なく算定できると考える。

つまり加算の算定要件のうち、面倒くさいフィードバックのPDCA活用については、現在緩い状態なのだ。この時期に加算算定して作業に慣れておくべきである。

どちらにしても現在あるLIFE関連加算を確実に算定していかないと、24年改定時に慌てふためくことになるので、十分その備えをしていただきたい。
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