25日に開催された第95回社会保障審議会介護保険部会の議題は、「介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進について」であった。(資料はこちら)

そこではセンサーやICTといった新たなテクノロジーのフル活用や介護助手の配置、これらに伴うオペレーションの見直しなど、業務の効率化や職員の負担軽減を図る施策を推進する方向性が確認されたが、それを直ちに人員配置基準の緩和に結びつけることへの慎重論が相次いだ。

それはある意味、良識ある判断ができる委員によって議論が展開されているという意味だろう。

特にUAゼンセン日本介護クラフトユニオン・染川朗会長の、「介護現場の生産性向上を後押しすることに異論は全く無い。ただ目的は、職員の負担軽減や不安解消、労働環境の改善、サービスの質の向上であるべき。介護施設は工場ではなく、介護を必要とされる方の住まい」という意見には、全くもってその通りであると拍手を送りたい。

日本医師会の江澤和彦常任理事の、「効率化の名のもと生活を作業化してはならない」という意見にも大きくうなづける。

僕もこのブログでは、再三にわたって人員配置基準緩和には反対の意見を書いてきている。(参照:アナログ規制で配置基準緩和へ ・介護労働を舐めている経団連

介護の場で働く人々のニーズと一致していない施策に走らないように、今後も力強く反対意見を唱えてもらいたい。

そもそもテクノロジーの活用による生産性の向上と、配置基準緩和をセットで考える必要はないわけである。

まず必要なのはテクノロジーの革新・進化によって、介護の場で使える機器を増やすことである。かけ声だけで使えない機器を並べ立てても、まったく意味のない議論で終わるのだ。本当に介護業務に役立つ機器が、様々な介護場面で使うことができ、それが業務の効率化や職員の負担軽減につなげることを図るのが第一。

それ以外のことは、業務の効率化がなった暁に考えればよいことではないのか。
人員配置緩和で介護崩壊
人に替わってテクノロジーが介護労働の一部を担うことができるという前提で議論が進み、人員配置の緩和がありきの介護の生産性向上議論は、利用者を物扱いする議論でしかないように思うし、結果的に生産性の向上を目的化すれば、機械的作業に終始して、利用者の良い・悪いという感情を無視して終わる結果にしかならない。

例えば僕が今一番注目している介護機器は、「自動体位変換機能付きエアマット」である。

僕自身は介護の場で使ったことがない機器だが、使っている人に聞くと完全に人の手をかけなくて良いわけではないが、省力化はかなり図ることができるようだ。

そもそも日本の技術水準から言えば、人の手による体位交換を必要としない、フルオートマチックの自動体位変換機能を持たせることは可能だと思う。

そうなると是非そのマットを体位交換が必要な利用者数に応じた数の導入を図りたい。そうすれば介護職員の業務負担は大幅に減ることは間違いがない。二人介助で体交しなければならない利用者もいると思うが、もしそれが機器によって代替されるなら、一気にその時間二人の介護職員が他の介護業務に携わることができるのである。

体位交換という介護業務が必要になくなると、特に夜勤業務の劇的業務軽減につながり、介護の在り方が飛躍的に変わると思う。

それと共に高機能スマートベッドの開発を進めて、技術進歩と低価格化を進めてほしい。

特養で暮らす利用者は、1日の2/3程度の時間をベッド上で過ごすのだから、ベッドの性能向上は重要だ。

寝ながらしてバイタルチェックが自動化することはもちろん、生体反応をキャッチして看護室でモニター管理できれば、利用者の状態変化に素早く適切に対応できる。自動体温計や自動血圧計をもって利用者一人一人の部屋を回ってバイタルチェック等をしなくて済むようになれば、看護職員が利用者にバイタルチェック以外で直接対応できる時間も大幅に増える。

看取り介護も劇的に変わる。スマートベッドの導入で、暗い寂しい部屋で一人寂しく旅立たせるような、「施設内孤独死」は100%防ぐことができる。むしろ1時間以内の旅立ちの兆候がつかめるようになって、家族等がそこに集まり、手を握って声を掛けながら旅立つケースが増えるだろう。

そんな高機能ベッドが必要なのか、必要だとしてもそれを購入する費用はどう捻出するのかなんて言う議論は、電動ベットの開発時にもあった。1983年に僕は新設の社福が経営する特養に就職したが、その年に新設された特養には電動ベッドが1台もなかった。

それが5年後には全ベッドの5割が電動化され、10年後には全ベッドが電動ベッドに替わった。今現在特養のベッドが電動ベッドでない方が珍しいではないか。そんなふうに必要なベッドは、普及するのである。

スマートベッドと自動体位変換装置付きマットの組み合わせが、「常識」になる日もそう遠くはないと思う。むしろできるだけ早くそうなる介護業界であることを期待したい。
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