第26回参議院選挙は、自民党単独で改選過半数、自民・公明の与党は参院全体(248議席)の過半数の125議席に加え、改選議席(124)の過半数の63議席を大きく上回る結果となった。(最終獲得議席数は、参議院選挙2022を参照ください。)

その一方で、全国老施協の組織内候補で複数の介護関連団体が推薦した、「そのだ修光氏」は、自民の比例当選者に入ることはできず落選の憂き目を見た。

今日から政治の世界は、衆議院の解散がなければ次の参院選が行なわれる2025年の夏まで、選挙を心配せずに国政の課題に取り組むことができる、「黄金の3年」に入ることになる。

ただしここでいう黄金とは、国民の審判を受ける機会がない期間という意味で、政治家にとって票を気にせず国民に痛みを強いることができるという意味である。

介護保険の国民負担増・給付制限も遠慮なくできるという意味であり、介護業界に吹く逆風の防波堤となる大きな政治的要素である、「組織内議員」を失ってしまった影響は、今後大きなうねりとなって介護業界全体を呑みこんでいくやもしれない。

加えて複数の介護業界団体が推薦した候補者の得票数が低く、自民党の比例順位も下位から9番目に沈んだ結果は、介護は票にならないという印象を強く与え、介護業界の声を政界に届きにくくする要因ともなり得る。

それは政治にとっての黄金の3年が、介護業界にとっては暗黒の3年につながりかねないことを意味する。
国会議事堂
2008年から議論の俎上に上っている、「居宅介護支援の利用者負担導入」も、1〜3割の利用者負担が導入されることによって、年間約590億円の財政効果が見込まれるという声に押され、中立性を損なって御用聞きケアマネが増えるとか、逆に不必要サービスをふやして給付費増加につながると指摘する声がかき消されつつある。(参照:ケアプラン有料化にメリットはゼロどころか・・・。

自己負担の2割負担者や3割負担者の拡大も必至となるだろう。

通所介護関係者にとって最も関心の高い、「要介護1と2の利用者の地域支援事業化」についても、多くの地域でボランティアによるサービス提供が進んでおらず、通いの場の整備が遅れている事情にもかからわず、介護給付からの除外が早まる可能性がある。

当然それは訪問介護福祉用具貸与の軽介護者の介護給付除外に結びついていく。

被保険者の拡大議論にも拍車がかけらられる。もともと介護保険制度は、20歳からの保険料負担という設計で進められてきたので、現在は40歳以上となっている2号被保険者の範囲の拡大議論も進められるだろう。その速度も早まるかもしれない。

3号被保険者創設も現実化する可能性がある。(参照:3号被保険者創設の布石が隠されている制度改正

そんなふうに国民の痛みを伴う利用者負担増と、給付制限が強化される介護保険制度改正・介護報酬改定につながる可能性が高くなった。

暴露ユーチューバーや、政治を語れない元アイドルが大量の得票を得て当選している中で、介護職員だけで210万人を超える数を持つ介護業界が、たった一人の組織内候補・推薦候補を当選させられないという現状が何をもたらすのかを考えると背筋が寒くなる。

それも介護業界全体の自己責任ということに帰していくのだろう。(割を食うのは非介護職員へ続く。)
登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。






※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
きみの介護に根拠はあるか
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは(2021年10月10日発売)Amazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。