介護事業における経営戦略を立てる上で、情勢分析が大事なことは言うまでもない。

逆に言えば、誤った情勢分析の上に立てられた経営戦略は何の意味もなく、それは道を誤るものにしかならないということになる。

そのことを考えると24時間巡回訪問サービスである、「定時巡回・随時対応型訪問介護看護」の未来は暗いと言わざるを得ない。

というのも6月22日に行われた「全国定期巡回・随時対応型訪問介護看護協議会」の総会で、このサービスが普及せず収益が上がらない最大の要因は、「ケアマネに定期巡回サービスの特徴が十分に認知されていない77.6%)」と分析しているからである・・・。

馬鹿言うなと言いたい。定期巡回・随時対応型訪問介護看護が制度に位置づけられたのは2012年4月からである。それから10年も経っているのに、あらゆる社会資源と利用者とのマッチングを考えなければならない介護支援専門員が、そのサービスの実態を知悉していないなんていうことはあり得ない。

居宅ケアマネの多くは、そのサービスの実態も問題点も熟知しているのだ。にもかかわらずこのサービスが浸透していない理由は、利用者ニーズではないからだ。

特に自宅の鍵を預けて夜中も勝手に他人が部屋まで入るサービスに、拒否感を抱く利用者や家族がまだ多いということに尽きる。
24時間巡回サービス
特に女性利用者は、男性の巡回訪問介護員への拒否感が強い・・・こうした分析ができない限り、このサービスは普及しない。

そもそも夜間も含めて24時間対応する定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、本来ならば要介護度が高い方が住み慣れた自宅で暮らし続けられるように、定期巡回しながら随時も対応できるモデルのはずである。

そのモデルにおいては、要介護4と5のひとり暮らしの方でも、このサービスを利用して自宅で暮らし続けることも想定されている。

にもかかわらずこのサービスを実際に利用している人は、要介護1の人が最も多く、要介護2の利用者と合わせると過半数を超えている。要介護4以上の利用者は全体の3割にも達していないのである。

これは身の回りのことがある程度できる方がこのサービスを使っているということと、重介護者の場合は、家族が介護をされているケースの補完としてサービスが利用されていることを現わしているのだと思う。

逆に言えば、そうした状況の人しか使い勝手が悪いということだ。随時対応といっても多くの場合、それは通報に応えるのみで、実際の訪問で解決するような状態ではなく、定時訪問は利用者の状況に合わせて時間組みがされておらず、定時訪問時間に利用者が合わせているという実態があるのだ。

つまり24時間巡回サービスによって一人暮らしの重介護者が暮らしを支えられるという構造になっていないのである。

こうしたサービスそのものに内包された問題に目を向けず、サービスが浸透しない原因をケアマネジャーの理解不足という外部要因にすり替えて分析しても、このサービスが劇的な広がりを見せることはなく、幻想的な現状分析による誤った経営戦略の元凶になるだけだろう。

よってこのサービスの未来は暗いものとしか言えない。

SNSでこの問題を指摘した際、そこにコメントを書いてくれたあるケアマネジャーがいるが、そのコメントをそのままこの記事の最後として紹介しておく。

何でもケアマネのせいにすればよいってもんじゃない。日中であっても他人が家に入る支援に対して拒絶感があるのに、夜間に、それもカギを預けてまで支援してほしいというニーズそのものがないのに。分析方法が間違っているのか、分析力がないのか。このままでは、このサービス種別は、都会限定のサービスになってしまいます。

うなづくしかない意見である。定期巡回サービスの関係者諸君は、こうした意見を十分かみしめていただきたいと思う。
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