CBニュースに連載中の、「快筆乱麻・masaが読み解く介護の今」の今月の連載が、昨日アップされているので、そちらも是非参照いただきたい。

それはさておき、本日の本題に移ろう。

日本には、「人を殺してはならない」という法律はないそうである。

人を殺せば罰せられるという法規定はあっても、人を殺すことを禁ずる法規定はないそうだ。

テレビドラマの、「ミステリと言う勿れ」で、菅田将暉.さんがそう言っていたので間違いないだろう・・・。
ミステリーと云うなかれ
その理由は、人を殺してはならないという法規定を作ってしまえば、死刑制度が成り立たない=死刑執行も人を殺す行為だから、それができなくなるという意味なんだろうか・・・。そんなことはないだろう。死刑執行を殺人ではないと規定すれば済むことだから、それは本当の理由ではないと思う。

本当のことはわからないが、人が人を殺してはならないことは、法規定以前に当たり前のことであり、人間の存在という根源的な問題だから規定されていないのではないのだろうか。

そもそも法律ですべての行為を規定してしまえば、人は生きる行為だけで、知らぬ間に法を犯してしまいかねない。法よりも上位にある倫理観を、人間が持つことができる限り、法で暮らしをがんじがらめにする必要はないわけである。

過去に書いた、「倫理について考える1〜法より上位にあるという意味。」でも指摘しているように、法は国家権力等に強制される他律的な規範であるだけに、法で厳しく規制が強化されることは逆に、法的追求を免れ、法の網から漏れるという空白部分を探して、そこに逃げ込んで責任を免れようとする人間を生み出す元凶になる。

そういう人間が巷にあふれる社会は、決して豊かな社会ではないし、幸せな暮らしが実現できる場所にもならないだろう。

だからこそ自主的な順守が期待される自律的な規範である倫理によって、人の暮らしを護るという意識が重要になるのだと思う。

そういう意味では、介護保険法や各種運営基準に定めのないことが、すべて許されることではないわけである。

例えば、介護施設の多床室に男女の区別なく利用者を入居させることを禁ずる法令規定はない。だからと言って介護事業に携わる専門家が、性差への配慮に欠けて他人である男女を多床室に雑居させることを何とも思わないとしたら、対人援助とはいったい何なのだろうという本質が疑われかねない。

そんなことはしないのが常識だという、「性善説」で法令は定められている部分があることを理解しないと、我々の介護事業にもどんどん制限がかけられ、がんじがらめの身動きできない状態になりかねないのである。

他人である介護サービス利用者は、お客様に他ならないのだから、家族や友人のように砕けた態度で接して、不快にさせてしまうようなことがあってはならないという法令も存在しない。他人である顧客に、節度のある態度で接するのは社会人としての常識だからである。

それを良いことに、砕けた態度やタメ口を家族的な親しみを込めた対応だとして改めない頭の不自由な輩が多いのも介護関係者の特徴だ。それは社会人としての常識を欠く人間が多数、介護関係者に交じっているという意味で、介護業界全体の民度を下げる元凶になっている。

広辞苑を引くまでもなく、タメ口とは、「目上の者が目下の者に対して使う失礼な言葉遣い」だという意味だ。その常識を理解していない輩が、目下でない人たちに非常識にタメ口で話しかけている。そうした態度の横行が、私たちの愛する職業を地に堕としているのである。

家族そのものにはなれない介護従事者が、介護支援の場で利用者に関わるときに求められる態度とは、家族と同じ遠慮ない態度ではなく、介護のプロとしての態度である。信頼のおける知識と技術に基づいた介護支援と接遇ができることはその基盤であるにも関わらず、接遇意識のない輩が多すぎる。

だから介護は誰でできる単純労働だと思われてしまうのだ。頭が多少悪くても、健康で丈夫な体さえあれば介護程度はできるだろうと思われるわけである。そしてその延長線上に、人間ではなくロボットによる介護が実現可能だとも思われてしまうわけであり、人を減らして介護の生産性を高めれば、要介護者が増えても大丈夫と思われてしまう原因にもなっている。

介護という職業は、本来であればロボットが代替できないほど繊細で難しい職業である。巧緻性が求められる行為と、力が求められる行為を、見事につなげあって同時にこなしながら、一人として同じではない感情に相対して、人々の心を癒すために存在するのが介護という職業である。

その尊さを自ら汚すような、「タメ口対応」をなくしていかないと、介護という職業の使命誇りは、決して社会に広く認知されることにはならないだろう。
登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。






※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
きみの介護に根拠はあるか
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは(2021年10月10日発売)Amazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。