僕が社会福祉法人の総合施設長を務めていた間は、トップとして人事権も全て掌握していたので、それだけに責任が重大だった。

仮に必要な人材を確保できない状態になるとすれば、それはすべて僕の責任とされると考えていたので、人材の確保と育成に力を注ぎ、定着率を高めて人材が不足しないようにするのが僕の一番重要な仕事であると考えていた。

その際に、どのような勤務態度を評価すべきかを悩んだ時期もある。職員には様々な個性があって、一芸に秀でて、一定場面では目立って才能を発揮する職員も多数いた。

しかし一番大事なことは、日常の暮らしをいかに護るための支援ができるかだと思った。介護の本質とはそれだと思うからである。

イベント企画に秀でて、他者が想像もつかないことを企画し、抜群の実行力でその場を盛り上げる職員であっても、日常の支援記録の提出が遅れたり、ルーティンワークに漏れがあっては意味がないのである。

何よりも遅刻しないで出勤し、始業時刻と同時にコツコツと目立たない作業(利用者への気配り・整理整頓等を含む)や他の職員を助ける行為などをやり遂げている人材を評価しなければならない。そうした凡事徹底を行える人材が法人の宝となるのである。

一方で、せっかく採用したのに全く成長が見られないばかりか、法人内で他の職員に害をなる人物も時折混じってくる。

経営者や採用担当者は全能の神ではないので、採用時に応募者の適性や能力を見極められない事態も生じてしまうことはやむを得ないことだ。

だからこそ試用期間中に適性を見極めて、対人援助に向かない人には引導を渡すことも必要になる。試用期間は労働基準法等の定めがないために、小さな組織では試用期間を定めていないところもあるが、それ自体が経営リスクだと自覚してほしい。

職場に対する不満や、他の職員の悪口ばかり言い続けるような人は、職場の雰囲気を悪くするだけではなく、他の職員の労働意欲をそぐとともに、悪い派閥を創って、ハラスメントの温床になりかねない。そうした職員を法律の範囲内で排除することも経営者や管理職に求められる役割だ。

良く言われることだが、「じんざい」は次の4種類に分けることができる。

・人材→才能のある人。役に立つ人物。
・人財→人材を育ててくれる、法人の財産と言える人物
・人在→数合わせのいるだけの人物・・・ただし鍛え方によっては、人材となり得る人物が混じっている
・人罪→いては困る人。いる必要がない人。いるだけで周囲の人に悪影響を与える人物。

介護人材育成を、・人材をいかに、・人財に引き上げるかという観点で考えては無理がある。そのように育つ・人材は50人に一人でもいればいほどだ。

求められていることは、・人材が志を失わずに、・人在に落ちていかないことがまず重要なのである。

それと同時に人在でしかない人を、いかにして人材へと引き上げていくことができるのかが、教育システムとして考えられていくことになる。

しかし人罪も、教育システムの中でどうにかなると考えるのは大きな間違いである。教育の手の届かない人もいるという現実を把握し、こうした人罪を見抜いて、一日も早く排除するという考え方も求められるのだ。
腐ったミカンは早めに捨てよう
特に介護業界は、慢性的な人材不足によって、気に食わない職場を退職したり・適性がないとして退職させられたりした人が、簡単に他の介護事業者に就職できてしまう悪い土壌がある。

そういうふうにして渡り歩くような人罪を安易に採用してしまうと、あっという間に整った組織風土が乱れる恐れがある。

組織風土が悪化するのはあっという間である。それを元に戻すためには、何倍もの労力と期間を要することになるので、人罪を見抜き、排除するということも、育成システムとして考えていかねばならないことを理解すべきである。
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