介護人材不足が慢性化する今日、介護事業者における人材育成は、介護事業経営の命運を左右する重要な課題である。
人材は降ってわいてこないのだから、独自の方法で育て、定着を図っていかないと事業経営が成り立たなくなる恐れがある。それだけ人の手によるサービスが不可欠な介護事業にとって、人材育成は介護事業経営の基盤をなすものだと言って過言ではない。
そのため人材育成のシステム構築に力を注ぐ事業者は確実に増えている。しかし育成システムがなかなか機能せず、期待した人材が育たないと嘆いている事業者が多いことも事実だ。
それは何が原因なんだろう・・・。人材育成に力を入れているのに、それが機能しない事業者のシステムを注視したとき、おぼろげながらその原因が見えてくる。
それは人を教育するに当たって、その前提となる「育つための動機づけ」を与えていないことだ。そうした状態で実務の場に新入職員を放り出している事業者では、人が育つ効率が悪くなるのである。
OJTを中心にして実施される実務教育の前に、基礎座学の中できちんと「育つための動機づけ」を与えなければ、効率よく人は育たないことを理解してほしい。
特に介護事業者では、新卒の社会人1年生だけではなく、他産業・他職種からの転職者や、同じ介護業界でも他事業所で経験を重ねた人が転職して新しい職場で再スタートを切る人も多い。
そうした雑多な人々に対して、OJTに入る前に伝えておかなければならないことがある。
社会人1年生は、自分が社会人として・介護のプロとして成長する以前に、職場とはどういうところなのかを理解していない場合がある。社会人としての価値観もほとんど持っておらず、まっさらな中で仕事を通じて、新たな価値観を獲得していく人たちである。
一方で、社会人経験者や介護職経験者の中には、自分は十分能力を備えているので、その能力を新しい職場で発揮するだけでよく、今更、覚えるべき知識や技術はないと考えている人も多い。
さらににそうした人たちは、ある程度価値観を固定化してしまっている場合が多く、新たな職場のルールに合わせようとしない人も居ないとは言えない。

そうした様々な個性が入り混じった人がいることを意識したうえで、介護事業者に就職するすべての従業員の入職時に、「育つ」動機づけを与えるために伝えなければならないことがある。
社会人1年生に対しては、「何のために、どんな風にしてスキルアップを図る必要があるのか」を示すことが求められる。そのために人として、社会人として、介護のプロとして成長が必要であることを伝えなければならない。職業人としてのルールをわかりやすく伝え、従業員として期待される能力とは何かを教え、それを目標に自分自身を成長させる先に、どのような未来があるのかを伝えることが大事だ。
経験のある転職者に対しては、現在持っている価値観はともかくとして、「新しい職場では何が期待されており、何を目指すべきか」を示して、新たにどのようなルールのもと、どのような価値観を見出し、それに向けて自分をどう成長させていくべきかを示す必要がある。
そのためにはまず、職場の理念とルールを明確に伝え、それを護ることを仕事を続ける条件とすることを徹底している必要がある。
当然のことながらそこでは、労働契約上の「労働義務」・「職務専念義務」・「安全配慮義務」等を正確にわかりやすく伝える能力が管理職には求められるのである。
そのことをしないで、教育システムだけ整えても、職員の成長は大きく期待できない。成長する職員がいたとしても、あまりにも効率が悪くなる。
しかし成長の動機づけを与えることができれば、教育課程で現在と同じインプットであっても、アウトプットとしての従業員の成長度は確実に伸びる。これこそ生産性向上と言えるのではないだろうか。
介護サービスそのものに生産性向上を求めすぎると、そこでは利用者ニーズを置き去りにした、機械的作業による事業者主体のケアに陥る懸念が生ずるが、人材育成の部分で生産性が口授することは、事業経営の基盤を強化することにつながるポジティブな結果に結びついていくので、大いに奨励されるべきである。
これらのことも僕の、「介護人材マネジメント講演」では随時伝えており、受講者の方々から好評を博しているので、それらに関する講演を希望する方は、是非お気軽に相談願いたい。
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