6/3(金)の午後に行われた自民党の政務調査会(会長は高市早苗衆議院議員)は、5/31に示された、「経済財政運営と改革の基本方針骨太の方針)」の原案を承認し、政府内閣に送るための通過儀礼ともいえる会合だった。

ところがその場が大荒れとなり、結局結論が出されないまま先送りされた。何が問題となったのだろう。そこを解説したい。

2018年以降の骨太の方針では、「2025年度のプライマリーバラン黒字」が最大の目標として掲げられ、そのために社会保障関係費を高齢化による増加分におさめ、さらに非社会保障関係費3年間で0.1兆円程度とするという、『予算キャップ制』が大方針として取られてきたわけである。

よって2019年度〜2021年度までは、このキャップがはめられて予算編成がされていた。そして実績ベースではその通りに予算出動されて、非社会保障費は年間3百数十億円ずつしか増加させてこなかった。つまり予算キャップは、決して外されることはなかったのだ。

ところが骨太の方針2022の原案作りの過程では、コロナ禍による経済停滞等の影響を受け、この予算キャップを外すべきだという意見が強く推し出された。

そして、「経済あっての財政」という財政積極派の意見が通り、財務省がその意見に屈した形で、「2025年度のプライマリーバラン黒字」という考え方が盛り込まれなかったのである。

つまり社会保障費は自然増分に納めるけれど、「非社会保障費は年間3百数十億円ベースの予算組み」という枠ははめないという意味である。

ところが財務省はこれに屈せず、骨太の方針2022の中に秘かに毒を盛っていたことが政調会の中で明らかになった。それが大紛糾の原因である。

その毒とは、骨太の方針2022・第5章、「当面の経済・財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方」の2-である。

ここでは、「令和5年度予算において本方針及び骨太方針2021に基づき、経済財政一体改革を着実に推進する」と書かれていたのである。

これについて若手議員から、「骨太方針2021に基づき、経済財政一体改革を着実に推進するということは、『予算キャップ制』という意味で、既に予算の上限をはめているという意味ではないか』という質問が出された。

その質問に対しての回答は、予算キャップ制は外されていないということを認めるものだった。

これに対し積極財政派の議員から猛反発の声が挙がったのである。特に財政再建派との調整を重ね、譲歩を重ねてきた調整役ともいえる西田昌司政調会長代理(参議院議員)の怒りはすさまじいものだったと言われている。

今年度予算組では、『予算キャップ』をはめないということで事前調整でいったん着地させたのに、財務官僚が原案文章作りの段階で、「仕掛け」を組み入れてきたという怒りであり、なおかつそれに迎合する財政再建派の一部議員(※多分、稲田朋美議員を指していると推察する)の度重なる財務省寄りの発言に対しての怒りである。

ということで3日は結論が出されなかった。そういう意味で今週の自民党・政調会が大注目だ。財政民主主義の立場で言えば、政治家がその責任においてしっかりその内容を決めておくのが本来だから、財務省の仕掛けを外して、予算キャップをはめない予算組の方針が示されるのか・・・。

ただしそうなったとしても、非社会保障関係費の予算出動を拡大するという意味でしかなく、社会保障費は、「高齢化の自然増分におさめる」という方針はそのまま引き継がれる。よって介護報酬改定は厳しい予測にならざるを得ない。

5/25にまとめられた財政審の提言では、「介護保険の利用者負担を原則2割とすること、2割負担の対象範囲の拡大を図ること、現役並み所得(3割負担)の判断基準を見直すこと」を要請している。居宅介護支援のケアマネジメントの10割給付をやめることも求め、「利用者負担の導入は当然」と踏み込んでいるので、これらが議論の俎上にのぼることは間違いない。

利用者自己負担については、いきなり2割負担が原則とされることはないが、後期高齢者医療制度並みの所得割合とする議論が行われるだろう。(※下記図参照
介護保険と後期高齢者医療制度の負担段階の所得
このように、後期高齢者医療制度の2割負担対象者は、介護保険の2割対象者より年間所得が80万円低い層で区切られているのだ。

そのためこの基準を介護保険も後期高齢者医療制度並みに均すことで、3割負担の基準も同じように変更する議論が行われるのではないだろうか。この場合、介護保険の3割負担の対象者は、現行より43万円所得の高い人が対象とされるために、3割負担の一部の対象者が2割負担と負担軽減されることになるが、2割負担者をその分増やすことで財政的な問題はクリアできるとされるのである。

このように2割負担の対象拡大を2024年度から行ったうえで、将来的に2割負担をスタンダードにすることが模索されるだろう。

どちらにしても国民の痛みはさらに増すことは間違いないところだ。・・・ということで、政治家の痛みが全く検討されない場所で、このように改正議論が進むわけである。

だからこの議論は、参議院議員選挙前には出てこないのだろう。
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