介護事業における人材育成をテーマにした研修会に参加しても、あまり実務的ではない研修が多いと思う人はいないだろうか?

実は僕がその一人である。

僕はまだ若かった30代で特養の施設長を拝命した際に、施設トップにふさわしいスキルを身に着けようとして、「介護人材育成」をテーマにした研修会にいくつも参加したが、ピンとくる講義に出会ったことがなかった。

その理由は何かと考えたとき、多くの人材マネジメント研修講師は、「人は成長する」ということを前提に講義をしているからだと思った。

まだ成長過程の小中学生や高校生教育ならば、そうした前提で教育効果を語ることは間違っていないのだろう。若者には果てしない可能性があるのは当然だ。

しかし介護業界で教育すべき新入社員とは、学卒の若者だけではなく、他職種からの転職者を含めて多種多様の経歴を持った人たちである。年齢もまちまちで、50代の新人なんて珍しくない。

そうした人たちの中には、自分の価値観を絶対的なものと信じて、他者の指導や助言を全く受け入れようとしない人も居る。頑固なまでに自分の牙城にこもって、人の意見を聞かない人が少なからず存在するのだ。
自己肯定感が高すぎる人
つまり自ら人間的成長・精神的成熟を止めてしまっている人がいるということだ。そういう人たちとは、教育の手が届かない人たちといっても過言ではない。

つまり教育する側のシステムとか教育担当者のスキルに関係なく、数多くの従業員の中には、「教育してを成長しない人」がいるということだ。

しかも介護保険制度施行以後、介護事業者の数は急激に増えており、人材確保が急務となったために、全国各地で介護人材の確保競争が行われ、とりあえず数を揃えなければならないと考える事業者も多い。そうした状態で介護人材不足は解決の糸口さえ見えない。

その中で募集に応募してくる人を闇雲に採用してしまう介護事業者も多い。そうなると他業種で、「使い物にならない」として首を切るなどされた人も、そこに多数含まている。

そんな人が教育効果で、良い介護人材に成長するわけがないのである。

だからこそ一定期間の試用期間を定めて、その期間は教育期間であると同時に、正職員としての適格性を判断する期間であると考えることが大事である。(参照:人材が育たない職場の大きな勘違い

つまり人材育成とは、人材を見極めて、介護人材としての適性のない人は転職を勧めるなど、「見切る」ことと同時に考えなければならない問題なのだ。

指導教育を行うことで、すべての人が介護の仕事を過不足なくこなすことができる人材に成長するなどという前提で、人材マネジメントを語る講師は信用しない方が良い。そんな講義しかしない研修は参加すること自体が無駄なことだ。それは幻想の世界だからである。

建前ばかりの人材マネジメント研修を、いくら受けても人材不足は解消しない。人材は育て・定着させることによってはじめて充足するが、それは多数の従業員の中に含まれているかもしれない、「腐ったみかん」を取り出して排除するという方程式がそこなければならないのだ。腐ったみかんを放置してしまえば、フレッシュでみずみずしい果実も全て腐っていくのである。

例えば僕は今朝、自分のFBで次のようにつぶやいた。
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一昨日、横須賀市の介護福祉士・北山肇郎容疑者(69)が準強制性交の疑いで逮捕されましたが、容疑は勤務していた介護施設の夜勤中に、入所していた認知症の80代女性に性的暴行を加えたというもの。女性は以前から、別の職員に「夜、男の人が入ってくる」などと話していて、行動に不審な点があった北山容疑者を施設側が調査したところ、犯行を認めたということです。
卑劣極まりない犯行ですが、夜勤中に職員が性犯罪に及ぶなんてことを想定している経営者はいません。でも実際に起こっている・・・。しかも犯人は職員といっても69歳・・・。人材の見極め、そして高齢者の雇い入れと任せることができる業務の再検証が必要になるのでしょうか・・・。
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このような鬼畜と言える犯行に及ぶ人物が存在した理由とは、果たしてこの施設の職員育成システムの問題と言えるだろうか?このような事件を起こす人物が、果たして教育・指導によって矯正される可能性があったのだろうか・・・。

僕はそれは少し違うだろうと思う。この年齢で卑劣な犯行を犯す人物は、いくら指導・教育したとしても、その根は変わらないだろうと思う。問題は育成の方法ではなく、その人物の本性に気づかずに、そこにずっとそこに居させたことにあるのだと思う。

だからある時期から僕は、他人の介護人材マネジメントを信用せず、自分独自のマネジメントを行ってきた。そしてそれが成功したことは、僕が総合施設長を務めてきた社福の実績から事実と証明されている。

その僕が、今現在依頼される講演テーマの一つに、「介護事業における人材育成」などの介護人材マネジメント講演があることは、ごく自然の流れと言える。

そんな僕の、「介護人材マネジメント講演」では、OJTの具体的方法や、リーダーが教育係としてすべきことのほかに、「人材の見切り」にも触れて、実務に生かせる方法を伝えている。

それは僕が社福の総合施設長として、地域のどの介護施設よりも定着率の高い特養を創ってきたという実績に即した方法論でもある。
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