無料でオンライン配信する「(株)トータルブレインケア主催・認知症専門講座」・「認知症の理解〜認知症の人と共に生きる地域づくりのために」は、いよいよ明後日(土)午後2時〜に迫っています。
当日は13:50より入室可能となります。講演は15:30までの予定となっていますが、その後質疑応答の時間も設けており、チャットでの質問も受け付けます。
まだお申し込みがお済みでない方は、こちらからお申し込みください。皆さんの介護事業の経営と運営において、今後役立つ情報をわかりやすく伝えますので、この機会に是非ご視聴をお願いいたします。
さて話は替って、本日の本題に移ります。
昨年度から居宅介護支援費は逓減性が緩和されて、40件以上から減算対象となっていたものを、ICTを活用したり事務員を別に配置した場合には、45件以上から適用するようにしました。
この逓減性緩和を利用することによって、居宅介護支援事業所は月額で61.210円〜79.650円(僕個人の計算)の増収が可能となり、これを居宅ケアマネの給与改善に回して待遇改善につなげることも期待されていました。(参照:経費をかけずに逓減性緩和適用し給与アップを・・・。)
しかし23日に公表された、厚労省がシンクタンクに委託調査した結果によると、居宅介護支援の逓減制緩和の適用は、わずか9.1%に留まっていることが分かりました。つまり9割を超える居宅介護支援事業所は、この緩和策を活用した収益増加策をとっていないという意味になります。
その主たる理由は下記の通りです。
※居宅介護支援費の低減性緩和を活用しない理由の上位5位。
ICTを活用できる体制が整っていないという理由で、逓減性緩和を活用できないという事業所が多いことに驚かされるとともに、それは極めて残念なことに思えます。なぜなら緩和要件はそれほど高いハードルではないと思うからです。
ICT活用については、老企第36号解釈通知が例示していますが、その内容は次の通りです。
・ 当該事業所内外や利用者の情報を共有できるチャット機能のアプリケーションを備えたスマートフォン
・ 訪問記録を随時記載できる機能(音声入力も可)のソフトウエアを組み込んだタブレット等とする。
ICT活用が、要介護高齢者である利用者との双方向のコミュニケーションを意味するならば、それは相手の事情も関係してくる問題で、高いハードルと言えましょう。しかし解釈通知が示している内容とは、居宅ケアマネ自身がスマホやタブレットを使いこなせばよいという内容でしかなく、体制を組むことが困難になるような問題ではないと思います。
しかも老企36号の例示した業務対応ができれば、複数の利用者宅を訪問する際に、すべての情報を紙ベースで持参する必要がなくなるし、移動中の車をどこかに駐車し、スマホやタブレットを利用して車内からの通信で、サービス担当者会議を実施することも可能となります。こうした形でケアマネ業務の効率化が図れるのです。
そのためより少ない時間で、現在と同様の業務がこなせることになるのは間違いありません。
そういう意味では、「ICTを活用する予算が確保できない」という理由も情けなく聞こえます。たかがタブレットやスマホを購入する費用をケチってどうするのだと言いたいです。そこに掛ける費用とは、ケアマネの業務負担を軽減しながら収益を増加するための、今後の投資と考えれば安いものです。せこいこと言ってるんじゃないと言いたくなります。
ケアマネジメントの質の低下を懸念して、担当利用者を増やすことをためらう理由には、やむを得ないとうなづく人も少なくはないと思います。
しかし施設ケアマネとして、一人で100人の施設サービス計画書を作成担当していた僕としては、それもどうかなと首をかしげます。
介護保険制度開始直後は、居宅介護支援事業所のケアマネ一人の標準件数は50人とされていましたので、多くの居宅ケアマネが、普通に50人の計画担当をしていた状態を知る身としても、随分のんきなことを言っているなという感想を持ってしまいました・・・。
そもそもそのような理屈で担当者を増やさない居宅ケアマネの現状を知って、厚労省が気の毒に思って、担当件数を増やさなくとも収益が上がってケアマネの給料が上がるように、次の報酬改定で優遇策を取ってくれるとでも思っているのでしょうか。
そんなことは絶対にあり得ません。
今回の調査結果を見て厚労省は、「居宅介護支援事業者は、せっかく国が収益増の道を創ってやっているのに、それを利用していない。すなわちそれは、増収しなくてもやっていけるから、増収努力を放棄しているという意味だろう。」としか考えません。
さらに、自ら増収努力をして給料を上げる努力もしていない状況は、介護支援専門員の処遇改善なんて必要ないのだと認識されることにもつながります。
よって逓減性緩和を活用しない居宅介護支援事業所の状況は、次の報酬改定での居宅介護支援費の単価に厳しい逆風になるとともに、介護支援専門員の処遇改善加算をもかき消す台風となることでしょう。
そうならないように、居宅介護支援事業所及び居宅ケアマネに対し、意識改革をするように呼びかけるべきなのが職能団体の役割だと思いますが、日本介護支援専門員協会にそんな頭脳はないからなあ・・・。残念!!
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