すべての介護事業者に策定義務が課せられた事業継続計画(以下、BCPと略)は、介護サービス利用者を護るためのみならず、介護事業者自体を護る目的を持っている。

それは介護事業が、社会にとって有益かつ不可欠な事業であるからに他ならない。

介護事業者が災害や感染症によって廃業に追い込まれ、地域住民が利用すべき介護サービスが無くなってしまわないように、有事の収益減を最小限に抑える目的をも持っているのである。

そのBCPの策定にめどが立たない事業者が多いという実態については、「BCP策定は、焦らず事業者全体で協力してが正解」で触れたとおりだ。

だが今後、厚労省等が音頭を取り、都道府県単位でBCP策定研修等が行われる機会が増えるので、そうした場を活用しながら、各事業者ごとに全職員で協力し合ってその策定に努めればよいこともその記事に書いた通りだ。

しかしいざというときは、ネット上に掲載されているBCPをコピペすればよいと考えている人がいるとしたら、それは大きな間違いである。

事業者の立地環境・地域事情・設備状況・利用者属性等によって大きく左右されるBCPは、ネットからのコピペでは策定できないのである。
BCP策定
極端な話、平屋と階建て構造の介護施設では、有事対応に大きな違いが出る。

平屋だとエレベーターが停止した場合の対応を想定する必要はないが、階建ての施設であれば、それは大きな課題となってくる。歩けばよいだけの話で、そんな違いはないと考えられない重要な問題を含んでいる。

例えば備蓄している食料や飲料水の保管場所が大きな問題である。平屋ならそれらがどこに置かれていようと、同じ階のフロアー移動だから、距離の問題はあっても垂直移動の必要はない。しかし5階建ての建物で、1階から5階まで重たい飲料水を階段を使って上げるのは大きな労力負担であり、職員が通常の2割しか出勤できない体制下で、そのようなことが有事対応として大きな支障とならないかを考えなければならない。

BCPはこうした事業者の個別性を鑑みたうえで、地域の協力体制をも加味し、平時対応有事対応の両方の面から策定する必要があるのだ。

逆に言えばこの策定を行って言う過程で、事業者の特徴(強みや弱点)も見えてくるだろうし、課題も浮き彫りになる。そこにうまく手当できれば、それが地域住民からの信頼性に結びつく場面も多々出てくる。

そして職員がBCP作成に関わることで、介護事業者の経営上の課題を把握・理解できるため、将来にわたる経営戦略を練る人材を育てられる効果も生まれる。よそのBCPのコピペでは、こうした効果は生まれないのである。

だからこそ策定を経営コンサル業者等に丸投げせず、BCPは全職員協働で作成するという基本を忘れないことが大事になるのである。

それが即ち、法人・事業者の財産となることだろう。

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