介護事業者の配置基準では、事務員の人数は定められていない。必要数を事業者ごとに判断して配置すればよいというわけである。

そもそも介護事業のメインサービスは介護そのものだから、直接利用者に接する介護職員等にスポットライトが当たりがちだ。

処遇改善の面でもその傾向は顕著で、給与改善の対象から事務職員は蚊帳の外に置かれる傾向もある。しかし事務職員がいなければ介護事業経営は不可能になるし、有能な事務員の存在が、介護事業者の発展と継続経営のためには必要不可欠である。

ところで表の掲示板に、「事務作業のクラウド化」に関連したスレッドが立ち上げられている。

僕はこうした取り組みは大変重要だと思う。

しかしそのスレッドでもぼやかれているように、一部の介護事業経営者の中には、こうした取り組みが無駄だと考える人がいるのも事実だ。

特にクラウド化にお金がかかるとなると、それが無駄な経費であると考える人がいたりする。

それだけにとどまらず、場合によってはスレッドに書かれてる専門的対応ができる能力がある人が、「オタク扱い」を受け、余計な仕事を増やしているかのような非難を受けるときさえある。それは違うだろうと声を大にして言いたい。

書類等のクラウド化は、システムを組み立てる際に多大な労力がかかったとしても、システムが軌道に乗れば業務の大幅な削減につながり残業も減るのである。しかもデータの保存上の安全性は飛躍的高まる。

重要なデータは紙で保存するのが一番安全という考え方も根強くある。しかし3.11で被災したところで、紙ベースのデータがすべて失われたことで、今なおその負の影響が続いていることを考えても、一番重要なデータは紙ベースだけでの保存では不十分であることは証明されているのだ。

クラウドに保存されたデータは、一時的に通信回線が途切れてアクセスできない時期が生じたとしてお、データ自体は失われないのだから安全性は高いのである。重要なデータは、紙とクラウド上と、両方で保存しておくことが望ましいのではないだろうか。

こうした対応は、2024年3月末までに策定義務が課せられているBCPとしても求められることだ。

災害と感染症に分けて策定が必要となるBCPについては、災害や感染症が起きた際に、どう対応するかという対策を立てれば良いと勘違いしている人がいるが、それは間違った考え方である。
BCP
遅くとも2024年3月末までに策定しなければならないBCPは、有事だけではなく平時の対応も必要になってくるのだ。

災害や感染症に備えて、災害や感染症が起きていない日常から備えておくべきものや、対応しておくべき事柄をBCPとして定めておく必要がある。

わかりやすいことを例にとると、災害時に備えた食品や飲料水の備蓄という問題がある。交通手段が一時的に途絶えて孤立した場合、いったい何日間分の食品や飲料水を備えおくのか(※最低3日分が必要と言われている)、備蓄品の保管場所や管理は誰がどのように担当するのか、消費期限が迫った備蓄品をどうするのかなどが対策されていなければならない。

地震に備えて、日ごろから建物の状況(壁に亀裂などがないか)などの平時チェックを行うことも必要だろう。

それと同じくデータ管理を、日常からどうしておくかがBCPとして策定されておらねばならないのだ。言い換えるとデータのクラウド保存もBCPなのである。平時対応としてそのことを盛り込んでおくことは極めて重要な対策と言えるのである。

そしてここにお金をかけるのは決して無駄ではないということを理解してほしい。

介護事業経営者は、積極的に事務書類のクラウド対応に取り組む職員が自分が経営する事業者にいることを心強く思わねばならない。

そうした職員はまさに、「人財」であると認識し、大切にしなければならないのである。

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