世間は今日からGWである。

登別温泉も今年は観光客が戻ってきて、ホテルも満員御礼のところが多いようだ。「道民割」などの恩恵で、定価の半額以下で泊ることができることも客足が多い原因なのだろうか・・・。

そうした世間の暦と関係のないところで働く、「シフト勤務者」が多い介護関係者には、心よりお礼を申し上げたい。いつものことながら頑張ってくれてありがとう。あなた方のおかげで日本は支えられていることを僕は知っている。

暦と関係なく働いて、介護が必要な人たちを支えてくれている介護職員ひとり一人が、日本の宝である。どうぞ体も心もこわさないように元気に働いてもらいたい。

昨日書いた、「希望と絶望の境はごくわずかな差でしかない」でも指摘したが、5月病から本格的なうつ病を発症する人も居るので、(※5月病自体は4人に一人が発症する、誰にでもなり得る症状です)何か少しで異変を感じたら、近しい信頼できる人に相談してほしい。

さてGWを家で過ごす人は、何をしようかといろいろ考えていると思う。どこにも行く予定がないし、友達も家にいるようなので、みんなで集まって何かをしようと考えている人達もいるのかもしれない。
肝試し
でもそんな人達にくれぐれも注意をしておきたい。何もすることがないからと言って、ちょっとした肝試しに、近くの心霊スポットに行こうなんて言う気になってはならないということだ。

僕は高齢者福祉の専門家で、社会福祉法人の特養・通所介護等の総合施設長を務めていたが、その母体は、精神科医療機関であった。

僕はその社会医療法人の理事も兼務しながら、医療相談室のスーパーバイザー的な役割も担っていたので、精神科病棟にどのような患者が入院しているのかを熟知できる立場でもあった。

入院が必要となる精神科疾患には、必ずそこに起因する問題というものが存在したが、「心霊に祟られた」ことが原因で、「自分はおかしくなった」と訴える患者さんが少なからずいるのだ。

それは心霊現象が本当にあるとか、幽霊が実際に存在するという意味ではない。

霊感がない僕は、それがあるものともないものともいえる立場にない。超常現象はあるかもしれないし、幽霊だって存在するかもしれなけれど、僕には真実はわからない。

しかし精神科疾患を発症している患者さんのごく一部には、その病気の原因が何らかの心霊現象に起因していると信じている人がいるのだ。

例えばGくんという患者さんは、肝試しのために友人三人と心霊スポットとして名高い「廃ホテル」を夜中に訪ねたことが原因で、恐怖症性障害からうつ病を発症するに至り、もう20年以上入退院を繰り返す暮らしを送っている。

彼らのエピソードはこうである。

彼らが真夜中に訪ねた廃ホテルは気味は悪かったが、中を散策しても何も起こりそうもなかったそうである。そのためGくんは一緒にいた二人に、「何にもないな」と話しかけたそうだ。しかしその瞬間に、「そうかしら」という女性の声が聴こえて、3人で悲鳴を上げて逃げ出したというのである。

ホテルの敷地から車のスピードを上げて逃げ帰った彼ら3人は、無事家までたどり着いたそうであるが、それからわずか1年の間に一緒に廃ホテルを訪れたGくん以外の二人に悲劇が襲った。

Aくんは恐怖体験をした1月後に胃がんを患っていることがわかり、その半年後に死去してしまった。

Bくんは3月後に勤めていた会社が倒産し、再就職にも失敗して有り余る時間をギャンブルをすることに充て、高利貸しに手を出してしまった。それによって借金取りに追われる身となり、連絡が取れなくなった。どうやら以前暮らしていたアパートからも姿を消してしまっているらしい。

これらを霊の祟りだと信じたGくんは、自分もきっと祟られていると思い込んで恐怖症性障害に陥ったのである。

恐怖症性障害とは、ある特定の状況や対象に過度な恐怖を感じ、その恐怖によって生活や精神状態に支障が生じてしまう病気の総称であり、うつ病や自律神経失調症の原因となるものである。

しかしGくんの友人二人を襲った悲劇は、本当に霊障と言えるのだろうか・・・。若い人が進行性の胃がんを患い、短期間で亡くなることは決して少なくはない。会社が倒産して、再就職できない人もたくさんいるだろうし、そもそもBくんは連絡が取れないといっても、借金取りから逃げているだけとも思える。そのため別の地域に転居してそこで普通に暮らしている可能性だってあるわけだ。

しかし肝試しで恐怖体験をしたGくんは、すべての悪い事象を、その体験と結びつけてしか考えられなくなっているのである。

この思い込みこそが怖いのである。そこに考えが落ち込むと精神疾患を発症させ、悪化させる厄介な原因となるのである。

さすれば、「肝試し」なんて、何もなくても何の自慢にもならないし、何かあればこうした不幸に結びつくだけの代物である。

よって、決して肝なんか試す気になってはいけないのである。連休といっても暇な人は、くれぐれもこのことにご注意いただきたい。
登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。






※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
きみの介護に根拠はあるか
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは(2021年10月10日発売)Amazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。