最近できたばかりの介護型有料老人ホーム(特定施設)を訪ねる機会があった。勿論、見学ではなく仕事である。

最近の建物は非常に立派だ。設備調度品も高級感が漂っているが、それだけではない。

セキュリティもしっかりしていて、外部の人間が勝手に玄関ホールに入ることなんてできない。

だからこそ、訪問者の呼び出しに素早く対応するシステムがセットで充実している必要があると思うのだが、呼び出しコールスウィッチを押しても、誰も対応してくれずにオロオロしてしまうことがある。

施設内のどこにいてもコールに対応できる端末を持って歩けばそのような問題は起きないのだから、そうした配慮もきちんとしてほしいと思う。
スマート対応
そうしないと高セキュリティも意味がない。高機能の密室空間を作りたいのなら別な話であるが、介護事業者はそうなってはならないだろう。

サービスを提供する職員の意識も新たにしていかねばならない。

入所・居住系施設も団塊の世代の人々が利用者の中心層を占めるようになっている。その人たちは日本の高度経済成長期を支えてきた人々である。上下関係に厳しい姿勢を持つ人が多いその世代の人々は、サービス提供者の顧客に対する対応にも厳しい視点を持っている。

そうであるからこそ、サービス提供者の馴れ馴れしい無礼な態度に腹を立てたり、傷つく人も多いのである。

そういう意味からいえば、抗議の声を発することができない認知症の人、重度の身体障害を持つ人に対しては、より一層の配慮と注意が必要だ。

いつまでも幼児言葉で利用者に呼びかけることが、家庭的な雰囲気を作り出すという馬鹿げた価値観から抜け出せない人は、新しいシステムを完備した高品質空間には向かない古い体質の人として排除されていかなければならない。

新しい施設には、いろいろな前職の人が介護職員として集まってきているので、その価値観も様々だ。

しかし新しい場所で、新たな仕事を始める以上、自分の価値観は横に置いておいて、新たに所属した事業者の理念を受け入れ、その理念を実現するためのルールを護って業務にあたっていかねばならない。それができない人は、その場所に居てはならない人である。

個人の価値観と、勝手なルールの下で仕事をしたいというなら、自分で事業を起こすか、無法な職場を見つけるしかないことを肝に銘ずるべきである。

僕が訪ねた高機能で最新の有料老人ホームの中にも、いろいろな職員の姿が存在した。

家族対応が丁寧なのに、利用者対応はぞんざいな態度の人も居る。認知症でない人に丁寧語で対応しているのに、認知症のある人にはタメ口対応の人も混じっている。それらの人は無差別平等が原理原則となっている対人援助の場で、その原理原則を犯してふるまう、無法な姿になっている自分に気が付いていないのだろうか。

こういう人たちに、当該老人ホームの経営主体はどのような教育を行って、介護の場に身を置かせているのだろうかと少々疑問を持った。

経営アドバイスを求められた訪問調査であったので、後日問題点として歯に衣着せず指摘させていただいた。

そもそもサービスの品質を維持・向上させるためには、内部情報だけに頼ってはそれは実現しない。内部情報の更新だけで事を収めようとする場所は、惰性によって日常にマンネリズムと感覚麻痺を生み出す結果になるのである。

だからこそ僕に経営アドバイスを求めるなどして、外部情報を取り入れてそれを防ごうとしても、肝心の職員が外部の情報と波長を合わせられない感性のままではどうしようもない。

そうしないために事業主体は、就業時の雇用契約を結ぶ際に、職場の理念とルールを明確に伝え、それを護ることを仕事を続ける条件とする必要がある。

従業員はそれぞれ、長年生きてきた中で自分固有の価値観を持っていて当然だが、職場という社会集団に組み入れられて働く以上、自分の価値観が職場の理念やルールに優先することはないことを理解し、どうしても自分の価値観が職場の理念やルールと合致しない場合は、その職場に勤めないという選択をしなければならないのである。

どちらにしても、自分の価値観とイメージの中でしか身動きできない人は大人とは言えず、それもかなり幼稚で知性に欠ける人であるとしか言えない。

すべての介護従事者は、職場の理念とルールに波長を合わせられる知的な大人に成長してほしいものである。
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