(株)マイナビが運営する、「メディカルサポネット」は、医療機関や保険薬局、介護施設向け経営・採用支援サイトである。
ここに、「菊地雅洋の激アツ!介護経営塾 〜選ばれる介護事業所であり続けよ」という連載枠をとってもらい、毎月僕の書いた記事を掲載してもらっているが、第8回目となる今月のテーマは、「高齢者施設で発生する虐待の背景〜求められる経営者の覚悟とスタッフへのマナー教育の徹底〜」である。
過去にテレビや新聞で報道された介護事業者における虐待について、どのような虐待が何を原因として起こったかを解説したうえで、未然にそうした虐待や不適切ケアを防ぐために何が必要なのかを論じている。
それは過去にこのブログ記事でも何度も論じてきたことであるが、今回はこの時期に改めてそれをまとめて、わかりやすく解説したつもりである。4月に入職した新人さんが、仕事を覚えてシフト勤務にも入るというこの時期に、改めて全職員でそのことを確認する意味で読んでいただきたい。
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その連載記事にも書いたが、虐待を防いだり、虐待につながる不適切サービスの芽を摘むためには、施設経営者や権限を持つ管理職の覚悟が必要である。
介護職員などの中に、意識が高い職員や、志を持つ職員がいくらいても、それらの人たちが不適切な対応の芽を摘もうという努力にはおのずと限界がある。上に立つ人間の覚悟のない場所では、一握りの腐った職員のよどんだ悪心がじわじわと職場に広がり、腐ったミカンの方程式がごとく、全体を腐らせることになるのである。
介護経営者や、権限を持つ管理職の協力がないところで、職場環境なんて良い状態に保つことは難しいし、ましてやいったん乱れた職場環境を変られるわけはないのだ。
不適切ケアの芽を摘んだり、不適切な状態を良い方向に直すときには、腐ったミカンを排除する必要もある。それだけが唯一の手段であることも多い。そのためには職務権限が必要となる。それがない下々の職員にできることには限界があるのだ。
だからこそ志のある人で、現状を変えなければならないと思っている人には、その場所で自分が偉くなることが必要だと言い続けてきた。権限を得る地位に就くためにどうしたらよいかを考えることを勧めてきたのである。
だがどの職場にも経営者や、権限を持つ管理職は、「今現在も」存在しているのだ。本当はその人たちが介護の本質に気が付いてもらい、断固とした対策をとってもらうことが手っ取り早い方法であることも事実だ。
自分は経営の専門家であって介護は知らないから、そんなことは現場に任せているというのは経営責任を放棄している考え方だ。
自分が経営する事業の本質を知り、その目的を達するために指揮を執ることも経営責任である。
介護事業という公費運営の経営を担っているのだから、公費を得るための公的責任を果たすのも経営責任である。
介護事業は対人援助であり、対人援助とは支援を受けなければならない人の暮らしに深く介入し、その人が暮らしを営むために必要な手を差し伸べる仕事である。そのとき手を差し伸べた相手が、人として豊かな暮らしを送ることができているのかを見極めるという責任も生じてくるのだ。
支援の手が届いているにもかかわらず、悲しみや苦しみから逃れられない人の肩を抱き、愛を届けるのが本当の意味の介護事業なのである。
介護事業経営者は、職員がそうした態度をとるべく指揮する責任を持っているのだ。
そんな必要ないし、そんな行動はお金にならないと切り捨てる先には、果てしない荒野しか生まれないのである。私たちが就いている職業とは、そうした使命と責任を帯びた職業であると思うのである。
それが介護事業を経営するもの、経営者にかっわって介護サービスの前線で指揮を執るものの使命である。
介護事業者とは誰に言われなくとも、そうした思いを忘れずに経営したり、運営したりする職場ではないのか。
そうした介護事業の責任、そこに携わるすべての人間に与えられている使命について語る研修会があと1週間後に迫っている。
5月17日(火)19:00〜21:00、甲東ホール(兵庫県西宮市)で行う講演、「介護職としての使命」((株)グローバルウォークグループ合同研修会)は、どなたでも参加可能なオープン講演である。
お近くの方で参加希望の方は、文字リンクをクリックして事前申し込みをしていただきたい。あなたの貴重な時間を無駄にしない、実務に生かすことができる話をします。介護職の方だけではなく、介護事業経営者の方や管理職の方にも是非聞いていただきたい講演である。
不適切サービスの芽を摘み虐待を防ぐというのは、介護事業経営において事業者が負う必要にある最も大きな責任だということも理解できると思う。
その責任を果たすために高い木の上から全体を見渡して支持する責任が経営者にあり、経営者の意を受けて現場で指揮棒を振る責任が管理職にあることを忘れてはならないのである。
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