新型コロナウイルスのオミクロン株蔓延を受けて、書面審査で行われていた登別市の介護認定審査会は、今週審査分からやっと対面審議が復活した。

そのため僕も昨夕は登別市役所まで出向き、介護認定審査会審議に参加した。委員が集まって行う審査会は、今年に入って初めてである。
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登別市の認定審査会が書面審査に変更になったのは、コロナ禍で全国に緊急事態宣言が出された2年前が最初である。その後、長期に渡って書面審査で認定結果が出されていたが、第5波が落ち着いた時期に、いったん対面審査が復活していた。

しかし第6波の影響で昨年11月から再び書面審査に切り替わっており、この2年間で対面審議によって認定を行ったケースは極めて少ない。

これによってコロナ禍以後の登別市の介護認定は、書面審査の結果によるものが大半を占めている。

認定ができてさえおれば、それも問題ないだろうと考える向きもあろうが、認定結果が十分な審議のもとに行われていないことで、申請者に不利益が生じていないかということが、審査委員としは一番気がかりな点である。

書面審査とは、市役所から送られてきた一次判定結果と調査員の特記事項を含んだ調査票・医師の意見書を読んで自宅で各委員が2次判定を行い、その結果を市役所に返送して担当課が2次判定結果を判断するものだ。

要するに書面審査の結果を多数決で判定するということだ。

多数決判定は対面審査でも行われることであるが、その際は必ず審議過程で、委員による議論が行われる。そのうえでこれ以上意見が出ないと判断した段階で多数決を行うので、結果的に全員一致することが多い。結果に対する意見が異なる委員が存在しても、議論過程で他の委員の意見を聞いて違った結果に納得する場合も多いからである。

それは即ち判定基準のすり合わせや整合性の担保につながる審議過程と言え、ルールに基づいた2次判定の精度を高めることにつながっている。

書面審査では、こうした議論がおこなれず、そうした効果が期待できない。また最終結果も委員には報告がないので、自分が判定した結果に賛否があるのかどうかもわからず自己検証のしようがない。

また僕は合議体の副長として、審査会では必ず委員長役を務めており、その際各委員の二次判定の意見を聞いて、その判定要素に審議に入れてはならない条件などがないかもチェックする役割を負っているが、書面審査ではそれもできない。(※例えば、今このサービスを使っているが、軽度認定となったら、このサービスが使えなくなるとして、重度判定するようなケースは不可である

そのため僕は対面審議ができないなら、せめてオンラインによる審査ができないかと意見具申していたところであるが、この度やっとその実施に向けた、「委員に対するアンケート」が送られてきた。
遅きに失したアンケート調査
それにしてもこの対応は、遅きに失した感が否めない。

世間ではオンラインによる打ち合わせ等は当たり前のことである。そうであるにもかかわらず、市民にとって重要な介護認定審査が、2年以上にわたって書面審査にとどまっている現状に問題意識を持たずに続けていた方がどうかしている。

もっと時代の変化に即応した行政対応が求められるのではないだろうか・・・。

そもそも市内を見渡すと、書面審査中も市内に一人も感染者がいなかった時期が多く、逆に対面審査が復活する今週は、感染者数がいてその数も先週より増えている。

対面審議を実施するかどうかの判断基準が当該地域の感染状況ではなく、北海道の感染予防策との連動でしかない点が問題だ。

感染予防対策を全道レベルの行政対応の状況で判断するという主体性のなさが、様々な施策に悪影響を与えているのではないだろうか。こんな地域で地域包括ケアシステムなんて機能するのだろうか?

いまさら言うまでもなく、登別市は温泉が有名で、国際観光レクリエーション都市宣言を行って、観光関連の行政対応はスピディーな印象がある。

その一方で、「市民が実感できない地域包括ケアシステムに意味はあるのか?」や「登別市に地域包括ケアシステムは存在しておりません」で指摘しているように、福祉行政では後進地域であるといってよい。

介護認定のオンライン審議化が今更検討される状況も、福祉に力を入れていない行政組織という印象を益々強めるものに思えてならない。

市民の暮らしに直結する福祉と介護に関する行政対応こそ、スピード感をもって、独自性を発揮してもらいたいと思うのは、果たして僕だけなのだろうか・・・。
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