新年度のスタートとなる4月は、何かと忙しい時期である。

介護事業者においても、年度切り替えにともなう各種事務や、新たに入職する職員の各種届出等しなければならない事務作業は目白押しである。なおかつ2021年度(令和3年度)の決算理事会に備えた資金収支計算書等の決算書類作成などの事務も同時進行しておかねばならず、事務担当者は多忙な時期を過ごしていることと思う。

ところが今年度はこれに加えて、科学的介護情報システム(LIFE)に関する事務作業が大幅に加わるという事態が生じている。多くの介護事業者では、この担当も事務職だろうから、大変な状態になっている。

事の起こりは、年度末の3/31に発出された介護保険最新情報のVol.1060による混乱だ。

科学的介護情報システム(LIFE)の受託事業者が変更されることを理由として、「お問い合わせフォーム」が5月中旬まで受付できないこと、及びLIFE ホームページの「様式情報出力」も4月下旬まで利用できないことが通知された。
科学的介護情報システム(LIFE)
これによってLIFEへのデータ提出が困難となった場合は、既存通知の『システムトラブル等で提出できなかった場合』に該当し、関連加算を算定することは可能」との解釈は示されているが、事務の混乱は避けられない。

しかもLIFEの問い合わせのメールでの受け付けが3/31をもって終了することも突然通知されている。

事前予告なしのいきなりの通知は、それだけでも傲岸不遜といってよい対応と思うが、問題はそれだけではない。

表の掲示板に立てられた、「令和4年度ADL維持等加算判定」というスレッドのNo.16以降に情報提供されているように、LIFEに情報提出したデータが上書きされてしまい、履歴として作成されないという事態が生じている。(詳しくはリンク先のスレッド参照)

これによってADL維持等加算の算定要件を確認するためのADL利得がLIFEから得られない状態になっている。

今月分の算定は来月行えばよいといっても、利得が算定要件をクリアしているかどうかを確認しておかねばならず、これがいつできるようになるのか、あるいは上書きしてしまっているケースはできないままなのかも不明である。

勿論ADL利得は、手作業で計算することも可能だが、それは結構大変な作業になる。もともとその必要なないとして通知されていたんだから、今更それはないだろうと思ってしまうのは人情である。

情報が上書きされてしまい履歴が消されることは、LIFEからのフィードバックにも影響があると思われるが、もともとこのフィードバックは意味のあるものになっていないので、そういう意味で影響は少ないといってよいかもしれない。

なぜなら現在のフィードバックは、LIFEに送られた情報の全国平均値と、送信先の数値を比較するだけのものでしかなく、フィードバック自体に価値を見出せなくなっているからだ。(参照:認知症の人の対応方法を科学する難しさ

そもそもLIFEとは、科学的介護につなげて介護の場の生産性の向上を図ろうとする目的があるものだが、その目的とは全く反対方向に向っているように思えてならない。

科学的介護情報システム(LIFE)というシステム自体に不便な点が多く、例えば同じデータ内容でも加算の種類によって異なる数値を入力する必要があることについては、多くの関係者が改善すべきと主張している。

そうした問題に加えて今回の問題が生じているのである。それは生産性がどうのこうの言う以前の問題と言える。

今、介護事業者でLIFEの事務担当者が行っていることは、LIFEというシステムを運用させるための協力作業でしかなく、LIFEによって事務作業は著しく増やされており、しかもそのシステムの恩恵は全く事業者にもたらされておらず、無駄と思える作業に疲労困憊している事務担当者の姿しか浮かんでこないのである。

果たしてこのような問題は改善されるのだろうか・・・。LIFEがあってよかったと思える未来はやってくるのだろうか・・・。はなはだ疑問である。
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