今現在、全国のたくさんの介護事業者で、新入職員に対する本格的な教育が始まっていることと思います。
ちょうどこのタイミングで、新人職員の方々に認知症の方に対するケアの基本姿勢を伝えることができるコラムが、メディカルサポネットの連載記事としてアップされているので、そちらを新人研修に利用してください。
更新記事は、「“科学的介護”だけでは証明できないもう1つのエッセンス」というタイトルで、(認知症のメカニズムとケアの視点)〜(生活支援型ケアの根拠とその方法)〜(記憶が失われても感情は失われない)〜(認知症を理解し受容することの重要性)という流れで論旨展開しています。
無料で登録すれば、どなたでも読むことができるコラムですので、是非参照してくださればありがたいです。そして認知症の方の状況を理解して、よき理解者・よき支援者であってほしいと思います。
ところでこの時期に、新人介護職員の方々に伝えておきたいことがあります。
それは、「立派な介護職員になる前に、どうぞ感じの良い介護職員になってください。」ということです。
介護労働とは感情労働でもあるのですから、利用者が不快な思いをしたまま仕事が完結されることは、「仕事ができた」とは評価できないのです。
決められた仕事をそつなくこなすことができても、そこで利用者不在の機械的作業が常態化して、利用者の感情が無視されては困るのです。
介護職員の顔色をうかがいながら、自分の身をゆだねる場所に安息はあるでしょうか・・・。そんな場所に生きがいは存在しなくなります。介護という職業が人の幸福を奪うようなことがあってはならないのです。
対人援助とは、人の暮らしを支える活動です。
対人援助に携わる専門職の結果責任とは、利用者が単に日々の暮らしを送ることができるというだけではなく、「人間尊重」の精神を基盤にして、その人らしい生き方を支え、豊かな暮らしに結びつけることなのです。(参照:命を選別する論理に巻き込まれないための価値前提)
そのためには私たち自身が、利用者の方に好感を抱いてもらう必要があるのです。私たちが利用者の傍らに寄り添うだけで、安心してもらえるような存在になる必要があるのです。
だから立派な介護職員になる前に、感じの良い人だなあと思ってもらえる存在になる必要があるのです。
感じの良さが利用者の方々に伝わるためには、接遇意識が不可欠です。接遇とは笑顔と丁寧な態度・丁寧な言葉遣いが求められる行為です。
新人教育を担当する方々は、どうぞタメ口が家庭的で親しみやすい言葉遣いだなどという勘違いをさせず、介護のプロとして丁寧な言葉も使いこなすことができる接遇の仕方を教えてあげてください。
作業労働を教える前に、どうぞそうした対人援助で最も大切なことを教えてあげてください。
介護事業者に就職した新人で、おむつ交換ができなくて辞める人はいません。でもこんな仕事ぶりで人の役に立っているのかと思い悩んで辞める人はいます。
おむつ交換や体位交換、入浴介助や食事介助の方法なんて、習得スピードの差はあるかもしれませんが、最終的には誰でも覚えるのです。覚えるスピードの差なんて言うものも、数カ月たてば差はなくなります。振り返ってみればそんなことは大した問題ではなかったという結論になります。
その程度のことを、躍起になって最初に教え込む必要はないのです。
しかし一番根っことなることを教えることを後回しにしては取り返しがつかなくなるのです。対人援助の理念や基本をおざなりにして、作業ばかり教え込まれた人は、人権意識がないままに作業労働だけを覚えることになり、そういう人が後々人権意識に芽生えて、優れた介護人財に育つという可能性は著しく低くなるのです。
無礼でなれなれしい言葉や態度に終始する場所で、機械を扱うように流れ作業のような介護に陥っている場所で、定着する職員は利用者の哀しい表情や、無表情を無視できる人でしかなくなります。本当に必要とされる人材はその場所から去っていきます。
皆さんが働く場所を、そのような哀しい場所にしないためにも、どうぞたくさんの感じの良い人たちを育ててください。
感じの良い人たちがつながりあう職場を創ってください。そこはきっと人に誇ることができる職場になるだけではなく、あなたにとっても居心地の良い職場となるでしょう。

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おむつ交換や体位交換、入浴介助や食事介助の方法なんて、習得スピードの差はあるかもしれませんが、最終的には誰でも覚えるのです。覚えるスピードの差なんて言うものも、数カ月たてば差はなくなります。振り返ってみればそんなことは大した問題ではなかったという結論になります。」
この部分に強く共感しました。全くその通りだと思いますがこういう考えの人材がつぶされるのが現状だと思います。
masa
が
しました