コロナ禍以降、僕の講演もオンラインが主流となっているが、その合間を縫って会場講演も行っている。

そこではオンライン講演にはない、「人との出会い」がある。そんな出会いが貴重なつながりになっていくことも多い。それは僕と受講者の間のこととは限らず、受講者同士のつながりにも結びつていく。だからこそ、そうした機会は必要不可欠であると思う。

昨年もある会場で僕の講演を聴いてくれた方が、「〇〇日の講演の内容が、まさに我職場でのタイムリーな内容でした。うちの話し?と。。。」とコメントを送っていただき、それが縁で現在でもSNSで友達としてつながっている。

その方は介護施設に勤めている方であるが、ある日職場内で職員による利用者への虐待行為を目にしたため、そのことを上司に報告したことがきっかけで、部署内の上司や同僚などからバッシングを受けているとのことだった。

その方から送られてきたメッセージには、『虐待をしたスタッフは退職になりましたが、報告した私と事件に巻き込まれた新人が形見の狭い思いです。』という憤りが書き綴られていた。

そのことについて僕は、昨年4月にこのブログの中で少しだけ触れている。「正論がまかり通る職場づくり」という記事の中で、「ある職場では、虐待事例を上司に報告した職員が、密告者としてやり玉にあがり、肩身の狭い思いをしているそうだ。」と書いた部分がそれである。

その方は上記の記事を読んで、「本当にありがとうございます。毎日、これでよいのか?私は間違っているのか?と、不安でした。が、元気をいただきました。戦えます。ラスボス(悪)に、倒されないように頑張ります。」というメッセージを送ってくださった。

その記事を書いてから約1年を経た先日、その方から再びメッセージが送られてきた。

それによると、虐待者の肩をもち告発者を馬鹿と罵った上司は降格異動となったそうである。その後、虐待の中心人物だった女性職員を初めとした虐待当事者は、体制の変化に着いていけず相次ぎ自主退職し、最後に一人残った要注意人物も4/1付で移動し厳しい監視下に入っているそうである。
頑張り続ける結果
虐待を告発し改善を訴えた方があきらめずに改善に向けて頑張ってきた結果が、職場を変えたのである。

もともとこの施設では、スタッフが利用者を叩いたり、利用者を調教するかのような言動が目立っていたそうである。利用者への暴言は当たり前で、移乗介助の際、利用者を放り投げるような行為が行われたり、不穏となった利用者に対して薬の頻用も目立っていたそうである。

そうした状況を上司に話しても、指導も改善もされずにいたため、虐待発覚後も当事者は、その状況を反省したり改善したりするのではなく、『夜勤やらないくせになにいってるんだ』『他部署の協力体制がないからだ』などと告発者を罵ったり、話をすり替えたりすることに終始している状態だったそうである。

その声につぶされそうになっているときに僕の講演を聴いて、「普段からの言葉づかい、態度すべてが虐待につながった。」ということを改めて認識し、その改善の取り組みをあきらめずに続けた結果が今日の改善状況を生んだのである。

世の中では、正論がまかり通らないことはしばしばみられることだし、正義が必ず勝つとも限らない。正義が権力に屈して惨敗することもあるし、悪を倒しても自らも倒れてしまうことがある。

しかしそうであるからといって最初からあきらめてしまえば、結局何も変わらないのである。

虐待の原因が、日ごろから従業員のサービスマナー精神の欠落によってタメ口をはじめとした汚い言葉遣いが横行し、態度が横柄になっていることではないかと感じていたが、僕の講演を聴いたことでそれが確信に変わり、それを改善するためには僕が講演で示した方向に職場全体を変えることだと確信したのだと思う。

介護支援に際しても、きちんと顧客対応意識をもって、お客様に使ってよい言葉遣いに改めるなど、サービスマナーを向上させるということを訴え続けてきた結果が、今日の職場改善につながったのである。

是非今後も、職場全体のサービスマナー意識を維持向上させ、志の高い人たちが働きやすい職場環境を護っていただきたいと思う。今度は、その職場内研修として僕を講師に招いていただければありがたい・・・なんて妄想もしている。
丁寧な言葉
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