4月も後半に差し掛かったこの時期、学卒者の新入社員もそろそろ職場の雰囲気に慣れてきたであろうか・・・。
僕が介護福祉士養成校で教えた生徒も、新年度から介護事業者でたくさん働いている。
それら子たちが卒業する際に僕は、「新しい職場の先輩が全員見本になるなんて思うな。中には恥知らずの反面教師役しか果たさない人間もいる。」と言っている。
これって本当に哀しい送り出し教育ではあるが、介護事業の一面の真実を伝えなければ勘違いしてしまう生徒がいるので、致し方ないところである。
同時に、そのような言葉で卒業生を送り出さねばならない介護事業の民度の低さを何とかしてほしいと思う。
(※勿論、すべての職員が手本となるような素晴らしい介護事業者があることを知っている。しかし残念ながらそのような事業者が少数派であることを変えなければならないという意味である。)
そして卒業生には、その民度の低さに流されて、自分自身が後輩たちの、『高い志(こころざし)』を奪う人間にならないことを切に願っている。
だからこそこの時期に、すべての介護従事者の方々に願いたいことがある。
それは自分が新人職員の見本となる仕事ぶりをしているか、反面教師役にしかならないのかを振り返ってほしいということだ。
後者の姿は人に誇れない仕事ぶりでしかない。それは生活の糧を得るだけのむなしい仕事ぶりではないだろうか。少なくとも自分の子に胸を張れない仕事ぶりである。
それはある意味、人生を無駄にしているとしか思えない姿である。
働くということは、人生の長い期間を占める行為であり、それは自分の生きる意味を刻む行為でもある。
そのような行為をダラダラと続けなければならない苦行に貶めるのか、生きがいをもって楽しく続けられるのかという境は、その仕事に価値ある使命感を抱けるかどうかにかかっている。
対人援助の使命とは、関わる人の暮らしぶりを良くして、関わる人々が幸せになり、笑顔にあふれることである。
そのような結果責任を負えない介護であってはならないのだ。介護事業者で新入職員に仕事を教える立場の人は、人間尊重という価値前提を胸にして、利用者の方々に真摯に向かい合う態度を指導できる先輩職員でいてほしい。
その背中を見て、あんな素敵な介護職員になりたいと思われる人でいてほしい。
僕のFBでつながっている四国の介護福祉士養成校の教員の方が、「大切に育てた子たちです。介護業界を支える宝物です。現場のみなさん潰さずに育ててやってください。」と述べている。
介護福祉士養成校の教員は、少なからずそのような思いを持っているのだ。それは志を持つ若者を潰す介護事業の実態を少なからず見てきているという意味でもある。
せっかく丁寧な利用者対応を教えているのに、就職した先で先輩職員の乱暴な言葉遣いに影響を受け、お客様である利用者に対し、無礼で汚い言葉遣いをすることに慣らされてしまい、いつの間にか丁寧な対応など欠片もなくなる新人職員であっては情けないのだ。
感覚麻痺の成れの果ての姿ほど、醜い姿はないことを自覚してほしい。
介護という職業に希望を抱きながら就業した人のうち、毎年何人もの人が数カ月で介護の仕事を辞めてしまっている。
その人たちは、『人の役に立てる職業だと思って選んだのに、人の役に立てない』・『利用者への対応が流れ作業になってしまっている』・『こんなやり方が、利用者のためになっているとは思えない』という理由で辞めている。
それに対して、「理想と現実は違う」という言葉で、現実を変えない人たちによって、志は潰されたまま放置される。それによって介護業界から去って戻ってこない若者が多くなるのだ。
これでは介護事業者から人材は枯渇して当たり前である。志が尊重され、低いレベルの現実を変え、一歩でも理想に近づける介護業界になってほしい。
「理想」とは、それが最もよいと考えられる状態のことであり、その状態になってほしいと思うものである。それを目指さないで何がプロかと言いたい。
希望に燃えた若者たちの理想を潰すような先輩しかいない職場であってはならない。そういう職場に就職してしまった人は、できるだけ早く職場を選びなおす必要もあるかもしれない。(参照:人によって合う職場は異なります)
自分が縁あって就職した職場は大切な場所だが、その中で起きていることがすべてではない。どうか井の中の蛙になってしまわないように、広く世間を見つめてほしい。
今の世の中はどこにいても、その気にさえなればあらゆる情報が手に入る。しかし有り余る情報の中から真実を探すのはとても難しいともいえる。
僕のこのブログや表の掲示板は、スキルを磨いて介護の仕事を続けたいと思う人がたくさん集まっている場所だ。
そうした志の高い人達が、根拠に基づいた介護の情報交換を行っている場所で、正しい知識と高い見識を身に着けてほしいと思う。
もうこの時期には、そこにはフレッシュな新人が訪れてくれるようになっているかもしれない。それともまだそんな余裕はないのだろうか・・・。
読者の皆様にお願いしたいことは、『磨けば光る才能を持ったかいごびとたちに、この場所を紹介して仲間としてつなげてほしい。』ということだ。
それも人材育成につながる方法の一つではないかと思うのである。
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赤い花の如く、
利用者様へ敬意を持った言葉づかいに、勘違いして未だにちゃん付けで、呼ぶ職員にその都度注意をしておりますが、それが親しみだと錯覚し、感覚麻痺を起こしている、お手本にもならない職員に多額の処遇改善加算手当の説明をさせてもらう立場の事務としては、どうすれば良いのか、情けなく思っています。
年度も変わり、改めて心したいと思いました。
ありがとうございました。
masa
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