この時期の介護事業者は、新年度に向けた備えのために忙しくなる。
そうした多忙な業務の中での最大のテーマは、新年度に入職してくる新人職員をどう育てるのかということである。
そんなテーマを掲げることもなく、新人教育を現場に丸投げする介護事業者は絶滅危惧事業者であるといってよい。
そうした介護事業者の多くは、事務的な連絡を基礎研修だと勘違いしており、実務前の基礎座学も行わず、いきなり実務教育を現場の職員に任せるような状態に陥っている。
そんな場所では、人材が育つかどうかは極めて偶然的な要素が強い問題となり、多くの場合定着率は低下する一方となる。その結果、その事業者はいつも職員募集をし続ける状態に陥る。
そうなると募集に応募してくる人がいたら幸運として、選考作業もおざなりにして闇雲に応募者を採用してしまうので、従業員の質も年々低下していく。そんなところに良い人材は張り付いて定着することはない。そんなふうに人が足りない=募集に応募がないという無限ループの悪循環に陥るのである。
そんな事業者がある一方で、人材確保のためには人材育成がまずは重要と考える事業者では、この時期に新人教育に向けた備えもきちんと行っている。
今いる職員にきちんと新人を教育する準備をさせるだけではなく、そうした職員を指揮・命令する立場の幹部職員に、人材育成教育の管理スキルを担保する準備も怠らないのである。
管理職は自らが技術指導するわけではないので、専門的な介護実務の知識があるとは限らないし、そんな知識を必ずしも必要としない。だが介護技術を新人に伝える職員の立場を理解し、その人たちを支持して護る姿勢が求められる。
介護技術を教える職員の意思統一を図ったり、教えるために叱る場面が必要であることを受容し、教育者としての立場をしっかり守るのが管理職の役割なのである。そうしたことを管理職の人たちに理解してもらわねばならない。
人材育成のためのシステム作りは、次の図のように3層構造のピラミッドを構築することが大事になるのである。
ということで僕は今日から3日間、ある法人の幹部職員研修の講師として仕事をしている。
暦の上では今日から3連休になっている。この法人の幹部職員も普段は暦通りの勤務となっているのだが、今回はその休みを返上して勉強してもらうわけだ。
そんなふうにして、この法人では幹部職員全員が年度内最後の3連休という貴重な休みを返上してでも、人材育成のための研修を受講するようにしているのである。
それは来るべき入社式以後の、教育訓練を管理するものの使命と責任を再確認してもらうために必要であるとされている。
4月から新たに法人に採用される新人が法人の戦力としてしっかりと育っていくように、管理職としての確認作業という意味合いも持つ研修であり、教育の方針を幹部職員で共有しつつ、実際にOJTの指導係となる職員にその方針を伝えて、実効性のある人材育成を行おうとしているのである。
法人全体でその目的に沿った統一した対応を行うための、年度内最後の管理職対象の研修機会だから、講師役の僕も気合を入れて掛からねばならない。
こうしたところに掛ける費用や労力は決して無駄にならない。それは確実に法人の財産となっていくものである。
当然こうした取り組みを行っている法人の提供する介護サービスの品質も高水準である。この法人も広域的にサービスを提供する法人ではあるが、そのサービス提供地域でもその評判は高い。
よって顧客確保に困ることはなく、安定した事業経営ができているのと同時に、信頼感のある雇用・教育システムが魅力となって、入所希望者も多い。だからこの4月に新規事業をオープンする際のスタッフも必要な数を早々と確保している。
そのような法人の管理職研修に力を貸すことができるのは、僕にとっても誇らしいことである。
ということで午前に引き続き、昼休みを終えた後、午後からも引き続き講義を行う予定になっており、さらに講義は明後日まで続ける予定である。
述べ講義時間はかなり長くなるし、テーマも多様化してくるが、今まで僕が培った介護の場の経験から得てきた実践論・実務論に終始して、理想論はそこには一切含めない。
できることを、やれるに変える、実のある講義をしたいと思う。
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