南の地域に住む人々から、「桜」の画像と便りが、SNSで届けられる季節になった。
そういえば新型コロナウイルス感染症に対して、最初の緊急事態宣言が発令された2020年4月7日、僕は福岡に滞在していた。
その際は前月の3月中旬からずっと福岡市内で仕事をしていたため、博多は3月にはもう桜が咲くんだなと感嘆した思い出がある。
この時期、まだ雪深い北海道に住む人間にとって、それは驚くべきことでもあった。
それから早2年・・・相変わらず新型コロナウイルスの感染症の脅威は去っていない。このウイルスが終息するとも思えない。
そんな中、感染第6波はピークダウンの時期に入って、政府は21日までに18都道府県に出されている蔓延防止措置を解除する方針を示している。
プロ野球も開幕後は、入場制限なしで観客を入れる予定になっている。そんな風に人が集まるイベントが復活しつつあるが、新型コロナが完全に消滅することはなく、感染の蔓延は繰り返されるだろう。
そうするといつの時期にこの感染症の認定レベルを下げるのかが問題になると思う。毎日全地域の感染者数を調べて公表することをいつまで続けるのだろうか。感染の波が来るたびに社会活動を止めていてはどうにもならないのではないだろうか・・・。
しかしながら蔓延防止措置が解除されても、高齢者施設等では面会制限を継続することを決めているところが多い。
昨日のテレビニュースでは、その正当性を訴える介護施設の施設長の映像が流されたりしていた。
なるほど近直の調査を見ると、3月14日0時までの1週間でクラスター感染が発生した高齢者施設数は341件となっており、過去最多を更新した前週から168件少ないが、引き続き高水準が続いていることは間違いない。
そうであるがゆえに、感染拡大は落ち着きつつあると指摘する声が増える一方で、重症化リスクの高い高齢者らが生活する介護現場が置かれた状況は依然として非常に厳しいと指摘する声があって、面会制限や外出制限を続けることもやむなしとする声があることは理解できる。
しかし介護施設の中には、最初の緊急事態宣言が出された2020年4月7日以来、一度も面会・外出制限を解除していないところがある。本当にこれほど長期の制限が、「許されてよい対応」と言えるのだろうか。
そこで看取り介護を受けている人は、今際の際にも愛する家族と会えずに一人寂しく旅立っていかされている。それを、「仕方がない」の一言で片づけてよいのだろうか。
2020年の桜を見て以来、去年も今年も桜を見ることがかなわずに死んでいく人に、「仕方がない」といえる人の感覚はいったいどうなっているのだろう・・・。
職員が外部から通い、その職員にプライベート部分の行動制限が一切行われていない中で、高齢者施設に入所しているというだけで、これだけ厳しい制限が長期間に渡って許される根拠は何だろうか。
僕自身は、その制限に感染予防効果はほとんどないと思っている。
春を感じることができない介護施設なんて、冷たい箱でしかない。せめてそこでは制限は、「原則」であり、「例外」を広く認める対応がとられていなければならないと思う。
看取り介護対象者のお別れは、原則家族がそこに居られるように対策すべきだと思っている。
「仕方がない」としか言えない知恵のない人は、介護事業でトップや管理職を務めるべきではないとさえ思う。
こうした厳しい時期であっても、人に対する優しさを失わずに、「しようがある」と考える人が、未来を明るく照らすのだと思う。
この唄には、「いつかまたこのすべてを微笑みに変えたいよ。」というフレーズがある。
高齢者施設を冷たいブラックボックスに変えないために、知恵を使い、やさしさがあふれる対応を行おうとする人だけが、このコロナ禍という状況であっても、その状況をいつか微笑みに変えることができる何かを生み出すのではないかと思う。
そんな高齢者施設であることを目指す人々に、心からのエールを送りたい。
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