介護職員の月額給与を約9千円アップする目的で2月給与支給分から交付される、「介護職員処遇改善支援補助金」は、9月までの時限措置となっている。

そのため10月以降も給与改善を恒久化するために、介護職員処遇改善加算の新区分を新設することが決まっており、そのために介護報酬を10月から1.13%引き上げるという臨時改定が行われる。

第208回社会保障審議会介護給付費分科会(持ち回り)資料は、そのことを示したものだが、介護報酬の算定構造介護報酬の見直し案に記されているように新加算の正式名称は、「介護職員等ベースアップ等支援加算」とされている。
介護職員等ベースアップ等支援加算
相も変わらずセンスのない命名である。(上の図は、訪問介護の新加算要件)

巷ではこの加算の略称を、「ベースアップ加算」とか「ベア加算」とか言っている人も居るが、僕自身はこの加算の略称を、「等等加算」と呼ぶことにした。

これは僕が管理する表の掲示板のスレッドの中で、pokoさんという方が命名した略称である。それがとても気に入ったというか、言い得て妙と思ったので、そのまま使わせてもらうことにした。

等等加算」は、「などなど加算」とも読めるが、あえて僕は、「とうとう加算」と読むことにしている。

それは、「補助金は、とうとう加算にされたか」という意味であり、「全額国庫負担で国家の財を庶民に回すと言っていたのに、利用者自己負担など庶民の痛みにとうとう置き換えるのか」という意味を服持つ略称である。

補助金が介護報酬の加算に置き換わった瞬間に、利用者自己負担が発生するのはもちろんのこと、介護保険料もアップし、その額は単純計算で1月約70円になるが、このように国民負担増によって、介護職員等の給与改善原資が維持されていくことは、大きな矛盾にもつながるのではないだろうか。

もともと介護職等の給与改善は、「成長と分配の好循環」を生み出すための経済政策として行われるものだ。岸田内閣はこのことを、「新しい資本主義」と名付けている。

この政策における、「分配」とは、社会の財の再分配を意味し、富める者の資産や資金を国が集めて財政支出するという形で国民全体に回すことを指すものだ。そのようにして経済活動を活性化させるとともに、貧富格差の解消にもつなげようという政策である。

しかしその財源が介護給付費に変えられた瞬間から、40歳以上の国民が平等に負担する介護保険料や、利用者の自己負担金が財源となるわけであり、結果的に富裕層ではない人の負担増につながることになる。

それだけではなく介護保険財源の確保という名目で、自己負担割合2割・3割負担者の増加や、給付制限の拡大につながることにもなりかねない。これでは財の分配効果は薄くなってしまう。

そういう意味では、10月以降の給与改善分が保険給付化されることは、政策主旨と矛盾するといえるだろう。

岸田内閣の看板政策も、とうとう加算に置き換わって、痛みを負うのはいつも国民ばかりとなってしまう。その痛みに一番苦しむのは格差社会の助長でその数が増えている所得の低い人たちである。

そんなふうにして社会の底辺で暮らす貧しき庶民が、一番苦しむことになるのである。

日本は、とうとうそんな社会になってしまったという意味である。

ただし補助金が報酬加算に変わることで、介護事業者には一つだけメリットが生ずる。

介護職員処遇改善支援補助金は、2月分の給与改善のために補助を受けない場合、途中から補助を受けることはできないが(新設事業者を除く)、新加算に変更後は算定要件をクリアすれば、その時点から加算算定が可能となるからである。

例えば本年2月時点で、処遇改善加算()〜()のいずれかを取得できていない介護事業者は、補助金の交付が受けられず、3月以降に同加算のいずれかを算定できるようになっても、補助金の中途交付は受けられなかった。

しかし加算に変更後はこの要件がクリアできていることで、「等等加算」は算定できるようになるのである。

その点は介護事業者にとってのメリットといえるであろう。
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