今年の北海道は例年以上に気温が低く、かつ雪が多くなっている。3月を目前にした今日も道路わきにはうずたかく雪が積まれ道幅が狭くなっている。雪解けも例年より遅くなるのだろう。
そんな厳しい冬だからこその景色も見られる。

僕の家からほど近い場所に登山口がある名峰・鷲別岳(わしべつだけ)の麓にある「スダレの滝」の氷瀑(ひょうばく)が迫力ある姿を現している。沢水や伏流水がつららとなって幾重にも下がり、幻想的な雰囲気を醸し出している。一度見に来て損のない景色を、雪が降らない地域の方にもいつか見に来てほしいと思う。
さて話は変わって本題に移ろう。
埼玉県ふじみ野市で起きた立てこもり殺人事件については、「介護事業者にとって他人ごとではない『たてこもり殺人事件』」という記事を書いて、介護関係者も同じようなトラブルに巻き込まれかねず、十分注意すべきだと警鐘を鳴らした。
ところが本件は、実際に介護事業者がこのトラブルに巻き込まれかねなかった状況であることが明らかになっている。
渡辺宏容疑者(66)=殺人容疑で送検=が事件当日、在宅クリニック関係者のほかに、かつて利用していた介護保険事業者も自宅に呼び出そうとしていたことが分かったのである。
容疑者が、「集金のついでに線香をあげにこい。それが筋だろ」と要求して録音が残っており、朝日新聞デジタルがその録音をダウンロードできるようにネット配信している。(※録音は文字リンクをクリックして視聴いただきたい)
この音声を録音しているのは間違いなく介護事業者であろう。
このように顧客からのクレームについて、きちんと録音しておくことがまず大事である。設備も含めてそうしたシステムを構築しておくことは、今後の介護事業には必然となる。
そういう意味では、この介護事業者のリスクマネジメントは優れていると思う。
またこのような理不尽な要求と、聞くに堪えない暴言を投げかける相手に対して、電話を受けている職員は実に冷静で適切な対応を行っていると思う。
毅然とした態度を崩さずに、言うべきことも言っている。さらにムッとする気持ちを抑えて落ち着いて応対しようとする気持ちも伝わってくる。敬服すべき態度だと思う。心より拍手を送りたい対応ぶりである。
こうした電話対応ができる職員がいてくれることは心強い。是非そう言う面での教育もしっかり行っておくべきだ。
当該事業者側は訪問を断っているが、仮に集金に訪問していたら被害にあった可能性もある。そういう意味では、クレーマーへの対策は今後急務になる。
いかなる理由であったも、「線香を上げにこい」と訪問要求を受けた場合、「当事業所は、すべてのお客様に、そのような個別対応はしておりません」などと冷静に応えることができるような対応の統一を図っておく必要があるだろう。
2021年度から介護事業者には、ハラスメント対策の強化が求められている。(※これは労働施策総合推進法において職場におけるセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントの防止のための雇管理上の措置を講じることが義務づけられていることを踏まえた基準改正として義務化されたものである。)
その中には介護事業者側や従業員側に非がないにもかかわらず、顧客が怒鳴り散らしたり恫喝してきたりするカスタマーハラスメント防止のための方針の明確化等の措置を講ずることも求められている。
よって介護事業者はハラスメント対策のガイドラインを作成して、そこに理不尽なクレームに対しては毅然とした対応を行うことを明記しておくとともに、相手側の要求に応じてはならない事柄(従業員が個別に居宅訪問して謝罪するなど)を具体的に記しておく必要があるだろう。
この点は早急に対策しなくてはならないと思う。なぜならそれは従業員を護るための対策であるのだから、スピード感をもって対策せねばならない問題であることを理解せねばならない。
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