厚生労働省が福祉用具貸与・販売の見直しについて話し合う有識者会議を新たに立ち上げた。

このことは次の制度改正・報酬改定時に、福祉用具貸与が財源削減のターゲットになることを意味している。

事実17日に行われた初会合では、2024年の制度改正・報酬改定の議論の俎上に福祉用具貸与の在り方を載せ、給付費の抑制を図る方策などが示された。(資料

財務省が現在まで指摘していた福祉用具貸与の問題点を含めて考えると、今後議論される内容は次の方向が主になる。

・歩行補助杖、歩行器、手すりなど廉価な福祉用具を貸与から販売に切り替え、ケアマネジメントの費用がかからないようにすべき

・ケアプランの内容が福祉用具貸与のみの場合、居宅介護支援の介護報酬を引き下げるべき。

※財務省がこうした提言を行う裏には、将来これらの用具を保険給付外にしようとする意図があることは明白であることを書き添えておく

このように福祉用具貸与の問題は、ケアマネジメントと直結する問題であり、居宅介護支援費の算定にも直接影響を与える問題でもあるのだ。

そのため上記の問題点の指摘についても、ケアマネジメントの在り方という方向から反対意見が唱えられている。
福祉用具貸与
例えば、貸与から販売へ切り替えると、状態像の変化に応じて適時・適切に福祉用具を使ってもらう機能が弱まるという意見がある。それと関連して、 機能に応じた用具の切り替えができないことにより利用者の重度化が進み、それが給付費の膨張につながるという意見も見られる。

しかし杖を例に挙げると、市販で1.900円で購入できるものを、月190円でレンタルしているケースがある。(※利用者負担割合が1割の場合)

10か月使用すれば、購入と同様の金額がかかり、それ以上だと購入以上の費用が掛かる。2割負担者や3割負担者だと、もっと短い間隔で貸与費が購入価格を上回ってしまう。そんな短期間に杖の種類を変えたり、他の貸与用品に変えなければならないケースは多くはないだろう。

だから価格の安い福祉用具は、購入に切り替えた方が利用者は負担が少ないし、むしろ自費購入でも良いとさえ思える。

そもそも歩行補助杖、歩行器、手すりを随時状態像に応じて切り替えて、身体状況の維持・改善したケースの情報発信が、介護支援専門員からほとんどされていない現状は、その主張の正当性の根拠に欠けていると言わざるを得ない。

また福祉用具貸与のみの居宅サービス計画であっても、結果として福祉用具貸与のみのケアプランになるケースでも、ケアマネは他の様々な支援を実施しているという主張については、あまりに具体性に欠けていると思う。

もっと具体的に、「様々な支援を実施」と、その結果を明らかにしないと、この主張に素直にうなづくことができる人は多くならないだろう。

むしろ福祉用具貸与に関連しては、制度開始以来ずっと批判があることも事実だ。

例えば特定の利用者について、居宅ケアマネが延々と貸与プランのみを作成して、満足なモニタリングをしていないと指摘されることも少なくない。そうした長期間の福祉用具貸与単品サービスプランの根拠を、きちんと明らかにしていくことも必要だろう。

同時にそのような指摘を受けて仕方のない居宅ケアマネの存在事実もある。そうした存在が、まともなケアマネの足を引っ張っているともいえるが、その問題にどう対処していくかということを、居宅介護支援事業所の関係者自らが提言していく必要もあるだろう。

どちらにしても福祉用具貸与の改革の必要性は、ケアマネジメントへの不信感と同一線上に存在する問題であることを、居宅介護支援事業関係者が理解したうえで、その問題への反論や提言を行っていかなければならない。

この部分は、居宅ケアマネの情報は市引力がとされるところで、矜持の見せ所といえるかもしれない。

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