カップラーメンの出来上がりを待つ3分は、とてつもなく長い時間に感ずるが、仕事に没頭する数時間はあっという間である。

今日は予定が詰まっているために、午前中の早い時間までに片付けようと思っていた仕事が思った以上に時間がかかり、いつの間にかお昼になってしまった。

13時からは、オンライン講演を配信せねばならないので、あまり時間がない。この記事もそんなあわただしい中で更新しているので、誤字・脱字などはご容赦いただきたい。

今日の講演は、「処遇改善支援補助金」に関してであるが、昨日の更新記事に書いた新解釈も含めて講演スライドを修正し、今日の朝になって講演事務局に送付したところだ。
処遇改善支援補助金講演スライド
ところでこの補助金については時限措置なので、10月以降は新処遇改善加算に切り替わることが決まっている。そのことについて今朝5時にCBニュースにアップされた、快筆乱麻・masaが読み解く介護の今では、「処遇改善財源の介護保険給付化、政策の趣旨と矛盾」というテーマで論評している。

10月から補助金が加算に変わる理由とその意味。介護事業者として備えておくべきこと。加算になることのメリットとデメリットなどを解説しているので、そちらも参照願いたい。

さてこれらの補助金や加算は、いうまでもなく介護職員等の給与改善に使われるものだ。

そこで一つ、介護事業経営者にとって頭の痛い大きな問題が生じてくる。

いうなでもなく介護事業を支える人材は、正職員のみに限らない。

正社員以外の職員も大切な戦力であり、その中には短時間パート職員も含まれる。しかし短時間パート職員を雇用する場合に、事業者にとって一つの壁となっているのが、「年収130万円の壁」である。

年収130万円というのは、いわゆる社会保険の壁や扶養の壁と言われている収入である。具体的には年収130万円を超えなければ被扶養者となることができ、社会保険料を支払わずに済むのだ。

よって夫の扶養となっている方で、介護事業者で短時間パートとして働いている人は、この壁を超えないように希望する人が多く、そういう人たちの希望に応えて給与計算をする必要もある。

この壁を超えそうな人は年末の12月に勤務調整して、休みが多いシフトを組んで、その壁を超えないようにしなければならない。年末の忙しい時期なのに、さらに人手が足りなくなる状況を生んでいる原因が、「年収130万円の壁」でもあるのだ。

この状況にさらに拍車がかかる恐れがあるのが、介護職員処遇改善支援補助金の支給問題である。

この補助金の支給対象となる介護職員には、当然のことながらパート等の従業員も含まれ、基本給が時給制の職員についてその時給を引き上げることや、基本給が日給制の職員についてその日給を引き上げることは、ベースアップ等の引上げに当たるとされている。

よって正職員以外の職員を含め、すべての介護職員を給与改善の対象としたいところだが、時給を上げることによって、今と同じ勤務時間だと130万の壁を越えてしまうために、勤務時間を減らさねばならない人も出てくる。

人材不足・人員不足に悩む介護事業者にとって、今いる職員の勤務時間をさらに減らさねばならないことは大きな問題である。それによって勤務している職員の業務負担が増えて、疲弊してバーンアウトしてしまえば大きな損失となるだけではなく、人員不足にさらに拍車がかかるからだ。

一部の職員の勤務時間が減ることで、介護業務自体が回らなくなって、できないことが増えることで介護サービスの品質劣化につながることも懸念される。

そのため130時間の壁を越えたくない職員の時給に限って、「1円引き上げ」などと時給改善幅を抑える事業者もあるかもしれない。

そうするにしても、それに該当する職員に不満が生じないかを確認する必要があるし、事前の説明・合意は欠かせないだろう。

130時間の壁の範囲で働きたいとする職員は、今回の補助金で勤務時間が減っても、現行の収入水準が守られることをメリットを感じる職員がいて、時給自体が上がるのは歓迎しているかもしれないからだ。

ちなみに岡山県のQ&Aでは次のような考えからが示されている。
Q23. 介護職員の中に賃上げを実施しない職員がいても問題ないか。
A23. 問題なし。

働き方改革で、パート職といっても不合理な給与差別は禁止されているが、長時間パートの時給と短時間パートの時給に差をつけたり、経験による差をつけることは認められるだろう。

社会全体が、「働き方改革」を求められている中で、短時間・有期雇用労働法第8条及び第9条並びに労働者派遣法第 30条の3及び第 30 条の4の規定は、雇用管理区分が複数ある場合であっても、通常の労働者のそれぞれと短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間の不合理と認められる待遇の相違の解消等を求めるものであるとされていることに配慮が必要ではあるが、その精神と規定を侵さない範囲で、130時間問題をクリアしてなおかつ従業員全体のモチベーションを下げないように、介護事業経営者は頭を絞っていることと思う。

この部分で法的問題が生じないかなどは、公認会計士や行政書士等の専門家にアドバイスを得ておくことも一つの手だろうと思う。

どちらにしても介護事業経営者にとって頭の痛い問題であるが、職場内の和を護ることを第一に、その方針を決定する必要があるのではないだろうか。
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