団塊の世代とは、1947年〜1949年の3年間に生まれた世代の人たちを現す言葉である。

それらの方々は今年2022年に、73歳〜76歳に達する。

2022年1月の段階で団塊の世代を含む70歳〜74歳の人口は964万人であり、総人口に占める割合は約7.6%と、人口構造上でも大規模な集団であるが、それらの人々が今、介護サービスを利用する人の中心層になっている。

だから過当競争で倒産事業者数が増えていた小規模通所介護事業所も、団塊の世代の方々がサービス利用してくれるようになったことで、再び息を吹き返しているのである。

だがそれに甘えて、サービスの品質をおざなりにすると、顧客から選ばれなくなり、あっという間に廃業に向かわねばならないことになる。

なぜなら団塊の世代の方々とは、様々な情報媒体を使いこなして、自分に合った介護サービスを利用しようとする傾向にあるからだ。人から勧められた事業所をおとなしく選ぶだけで収まらないし、気に入らないことがあればシビアに事業所を選びなおす傾向が強い。

そこで問題となるのが、その人たちはどのような時代背景を生きてきたのだろうかとうことだ。それを探ることが、その人たちのニーズを探ることになるからだ。

団塊の世代の最終年次である1949年生まれの人を例をとると、15歳(1964年)の時に最初の東京オリンピックが行われており、この時期は、「いざなぎ景気(〜1970年)」と重なっている。そして社会人となって以後、第1次及び第2次オイルショック円高不況・バブル景気を経て、リーマンショックに至るまで現役世代として社会の第一線で働いていた世代である。

そして2009年〜2014年に60歳〜65歳となっているので、おそらくこの時期に定年退職を迎えた方が多いのだろうと想像する。

しかし第一線の仕事から退いても、体が元気なうちは社会参加して、役割を失わないようにしようと、アルバイトを続けていた人も多いだろうし、ボランティアやシルバー人材として活躍されてきた人も多いと思う。

それらの人が70歳を迎えようとするあたりから、悠々自適の生活を考えていく段階で、「コロナ禍」という状況に遭遇したことをきっかけに、仕事や活動から身を引いて、介護サービス利用に至ったというケースも多いのかもしれない。

その人たちと通所介護事業所で交わす話題は、小学校唱歌の思い出ではなく、ビートルズやベンチャーズかもしれないし、思い出の中に戦時中のものはなく、バブル崩壊前後の浮かれた日本経済の話題を欲しているかもしれないわけだ。

印象に残って人に話したい事件も、学生運動時の騒擾や、あさま山荘事件と連合赤軍による総括と称した連続リンチ殺人であるのかもしれない。・・・いや、もしかしたらオウム真理教事件になるのか?

どちらにしてもその人たちは、つい最近まで社会の第一線で活動してきた人である。そういう人たちが介護サービスの顧客の中心層になっているということは、その人たちのニーズに対応しないと、介護事業経営は成り立たなくなるということだ。

例えば今年70歳になる人(昭和27年:1952年生まれ)は、どのような時代背景を生きてきたのだろうか。

そのことを理解するために、その人たちの生きてきた時代を年表にして表すことで理解してほしい。
今年70歳になる人の年表
このように今年70歳に達する人は、携帯電話やインターネットは当たり前に利用していたし、PCのみならずスマホやタブレットも使える人たちであると想像できるのだ。
※団塊の世代の人は、70歳の人に3年〜5年プラスした年表を書けばよい

その人たちが介護サービスを利用するようになった途端に、「チーチーッパッパ」の活動を強いられたらどう思うだろうか?そんな介護事業にはそっぽを向くだろう。

だからこそ、「認知機能トレーニングをスタンダードメニューに」や「地域住民から選ばれる通所介護のサービスメニュー」で示したような工夫が必要になるのである。

時代の変化のスピードは、20年前より確実に早くなり、変化の波も大きくなっているのだ。いつまでも高齢者が最新テクノロジーに対応できないなんて思い込んでいてはならない。ネットおたくの高齢者だって介護サービスを利用してくるのである。

介護事業関係者は、こうした利用者の世代交代に伴うニーズ変動に敏感になっていかねばならない。

そうしたニーズに対応することは顧客確保だけではなく、新たな要介護高齢者が望む高品質サービスにつながるのだから・・・。
登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。






※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
きみの介護に根拠はあるか
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは(2021年10月10日発売)Amazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。